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ヒッチコックの「裏窓」のぞきをのぞく、会話劇と日常の中のスリル

ヒッチコック監督作品「裏窓」

「裏窓」はアルフレッド・ヒッチコック監督による1954年公開の映画。

怪我で部屋から動けない男が、窓からながめる近隣住民の不審な行動に気付き、真相を解明しようとするサスペンス・コメディ。

 

概要・あらすじ

カメラマンのジェフは撮影中の事故で6週間も部屋から出られない生活を送っていた。

唯一の楽しみは窓から眺める向かいのアパートの人間模様。

ある日、一つの部屋での異変に気付く。

まさかあの部屋で殺人が?

 

カメラワークと会話のやりとりが絶妙。

カメラは部屋から一歩も出ないのに全く飽きさせない。

最初は呆れながらも次第にノリノリになっていく看護婦と恋人。

あくまで冷静な友人の刑事。

窓から見える隣人達のそれぞれのストーリーもきちんと描かれている。

サスペンスではあるけれど、何度観ても楽しめる作品。

 

予告編動画

Rear Window (1954) Modern Trailer - YouTube

現代風に再編集された予告がかっこいい。

 

名脇役セルマ・リッター

ヒッチコック監督で人気のある作品はなんでしょうか。

「鳥」、「サイコ」、「めまい」、「バルカン超特急」、あるいは「北北西に進路を取れ」か。

いずれも傑作で意見の分かれるところですね。

 

僕も長らく「鳥」のイメージが強かったのですが、今ならこの「裏窓」が一番好きです。

その理由はアメリカの良心ジェームズ・スチュワートでもなく、グレース・ケリーの美貌でもなく、セルマ・リッター*1の存在にあります。

 

元々は舞台の出身で、子育てのために一度引退した後、40代での映画デビューでした。
現在観ることのできるものは「三十四丁目の奇蹟」「三人の妻への手紙」「西部開拓史」など数は少ないものの、個性的な表情を見せてくれます。

 

本作では主人公ジェフの看護婦として、たびたび部屋を訪れます。

最初は作品中一の常識人としてジェフののぞき趣味をたしなめていたはずが、いつの間にか一番ノリノリで楽しんでるんですよね。

その部分の登場のさせ方が個人的なハイライトです。

アメリカの市原悦子か。

 

隣は何をするひとぞ

向かいのアパートの窓からは人々の生活が垣間見られます。

一人暮らしの寂しい女性、売れない作曲家、新婚夫婦、愛犬家の夫婦など。

それぞれにストーリーがあって、主人公と一緒にのぞいている楽しみを共有することができます。

この部屋の位置関係は作中ではなかなか分かりにくいのですが、それをまとめてくれている動画があるので紹介します。

 

Rear Window Timelapse from Jeff Desom on Vimeo.

 

あとがき

サスペンスに分類される作品ではあり、予告編(再編集版)だとこわそうな印象ですが、実際はまったりと会話劇を楽しめる雰囲気です。

ヒッチコックを観たことがない方にはまず本作をおすすめします。

 

原題:Rear Window

監督:アルフレッド・ヒッチコック

出演:ジェームズ・スチュアート / グレース・ケリー / セルマ・リッター / レイモンド・バー 

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