午前3時の太陽

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「三十四丁目の奇蹟」大人が問われるサンタを信じますか問題

三十四丁目の奇蹟 スペシャル・カラー・バージョン

 

「三十四丁目の奇蹟」は1947年公開の映画。

クリスマス映画の名作としてこの時期には定番の作品だ。

www.cinematoday.jp

 

2013年版で1位、2014年版では2位。

あらすじ

マンハッタンの34丁目にあるデパート、メイシーズ*1では、毎年感謝祭のパレード*2を企画していた。

担当者のドリスは毎年出演者選びに苦労しているが、その日もサンタ役が泥酔してしまい途方に暮れる。

そこへ偶然通りかかった老人は髭といい、恰幅といい、まさに適役であった。

 

パレードの成功をきっかけに老人はメイシーズのサンタ役として雇われ大人気になるが、一つだけ問題があった。

老人はサンタクロースの別名であるクリス・クリングルを名乗り、自分が本物のサンタであると信じていた。 

 

予告編動画 

Miracle on 34th Street (1947 Trailer) - YouTube

子供たちのために

老人の行動の基本にあるのは、それが子供たちのためになるのかということ。

急遽サンタ役を打診された際も、子供たちをがっかりさせたくないとの理由であったし、デパートに目的の商品がないときも、迷わず他社での買い物をすすめる。

子供が本当にほしいプレゼントを手に入れられるように。

結果として、買い物客の信頼を得て評判になり、他社を含めてそれは全国的な動きになる。

やさしい世界だ。

老人は何者か

ドリスは娘のスーザンと二人で暮らしている。

スーザンは隣人の弁護士、フレッドによく懐いているが、サンタの存在を信じていないし、童話を読んだこともない現実的な娘。

これはドリスの、子供にウソを教えるべきでないとの考えによるものだったが、老人の存在で揺らぎ始めるのだ。

 

言動に疑問を抱き、チェックした雇用カードに書かれていたのは、以下のとおり。

名前:クリス・クリングル

生まれ:北極

年齢:As old as my tongue and a little older than my teeth*3

これはもうサンタだ。

そしてドリスとしては認めるわけにはいかないものだ。

 

サンタとして、人として、信じることができるのか、親子ともどもつきつけられる。

老人の妄想なのか、本物のサンタなのか。

サンタはいるのか

この問題はなんやかんやあって裁判沙汰になる。

ここまできて、個人の問題だけではなく、子供として、親として、弁護士として、判事として、州として、国家としての難問になってくる。

それぞれの立場を揺るがす大問題だ。

あなたはサンタを認めますか。

 

子供のように信じる心を持ち続けることも大事だが、大人はそれだけでは成り立たない。

双方を納得させる幸せな解決法はあるのか。

あとがき

本作はその後、4回ほどリメイクされたようだ。

クリスマス映画のおすすめ記事として、1994年版の「34丁目の奇跡」*4を紹介しているものをよく見かけるけど、間違って借りた人も多いんじゃないだろうか。

もったいないよね。

ちょい役でセルマ・リッターが出てるけど、僕は好き。

 

*2018年12月現在、プライム・ビデオで吹替版が視聴できる。

三十四丁目の奇跡(日本語吹替版)

 

原題:Miracle on 34th Street

監督:ジョージ・シートン

出演:エドマンド・グウェン(クリス・クリングル)

   モーリン・オハラ(ドリス・ウォーカー)

   ジョン・ペイン(フレッド・ベーリー弁護士)

   ジーン・ロックハート(ヘンリー・ハーパー判事)

   ナタリー・ウッド(スーザン・ウォーカー)

   セルマ・リッター(デパートの客) 

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ちなみに、クリス・クリングルはクリスト・キントが訛ったものらしい。

何で?サンタクロース人気が異常に低い町がドイツにあるらしい - withnews(ウィズニュース)

*1:全米最大の売上を持つデバート

*2:メイシーズ・サンクスギヴィング・デイ・パレード - Wikipedia

*3:ジョナサン・スウィフト(「ガリバー旅行記」の作者の言葉)

*4:脚本が「ホーム・アローン」を手掛けたジョン・ヒューズ