午前3時の太陽

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映画「ウォールフラワー」壁の花だから見えるものもある

ウォールフラワー(字幕版)

「ウォールフラワー」はスティーブン・チョボスキー監督による2012年公開の映画。

原作は監督自身の著書で、アメリカでヒットした青春小説である。

 

あらすじ

高校入学初日を迎えたチャーリーは、内気な少年だった。

クラスにも馴染めず、一人で過ごす。

誰にも見向きもされない壁の花。

そんな学校生活を変えたのは、技術工作のクラスで一緒だった上級生のパトリックと、その義妹のサムとの出会いだった。

予告編動画

映画『ウォールフラワー』予告編 - YouTube

この予告編いいよね。

曲はImagine Dragonsの「It's Time」

Night Visions

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  • イマジン・ドラゴンズ
  • ¥1100

 

青春の影

チャーリーには、作家になるという目標があった。

読書が好きで、国語の上級クラスの誰よりも知識があるが、そのことは担当教師しか知らない。

内向的なのはもともとの性格もあるだろうが、親友の自殺、叔母の影響にトラウマを抱えていた。

 

青春を謳歌しているかに見えたパトリックやサムもまた同様に、人には話せない秘密を持っている。

二人がチャーリーを自然に受け入れたのは、そんな同じ匂いを感じたからなのかもしれない。

 

本作で描かれる日常は、日本の高校生活とは程遠い。

ドライブ、ドラッグ、飲酒、パーティー。

「限りなく透明に近いブルー」が近いといえば近いかな。

でもそこまで退廃的ではなく、爽やかに描ききった。

 

ウォールフラワー

 

スティーブン・チョボスキー監督について

原作の著者であるスティーブン・チョボスキー自身が監督をしている。

小説は社会現象にもなったというほどの人気を得て、映画化の話もあったのだが、彼は10年以上をかけて自ら監督することを選んだ。

 

「12歳の時に父親に自分は物書きになりたいと宣言したら、偉大な物書きは偉大な読者でもあるという言葉が返ってきた。ところが僕は全然読書をしない子供で、映画ばかり観ていたので、だったら脚本を書こうと思い、映画の道に進んだんだ。

(中略)

原作で、そしてそれ以上に映画でやりたかったのは、苦悩しているのが自分だけではないと感じてもらうことだった。 」

(監督インタビューより)

 

監督の個人的な体験をもとに29歳で書かれた小説が、さらに時間をかけて客観的に見れるようになったことで映画化が実現した。

「大人としての視点が必要だった」と語られるように、あの頃の僕らはどうだったかと思い出させてくれる。

 

ウォールフラワーは観察者

カセットテープで音楽を紹介する時代。

チャーリーの姉も恋人のデレクが毎週プレゼントするミックステープにうんざりしていた。

今よりも世間が狭かった頃、自分の周りの世界が全てだった。

それなりに楽しく過ごしてはいても、周囲との乖離に悩む日々。

 

チャーリーがパトリックたちの仲間に受け入れられた日のセリフとして以下の言葉が出てくる。

 

「君は観察して、理解してる。ウォールフラワーだ。」

「はみだし者の島へようこそ。」

 

彼らもまた、中心から外れた存在だった。

壁際の、一番外側から眺めた景色は、人々の様子がよく見える。

一見華やかな世界も、装われた姿であることを理解している。

 

チャーリーが孤独のままで終わらなかったのは、自ら歩み寄ろうとしたこと。

共に壁を乗り越えようとしたことにある。

 

前半と後半で2度出てくるドライブシーンでの曲は、デヴィッド・ボウイの「Heroes」。

ベルリンの壁で逢瀬を重ねる恋人たちを歌ったもので、後年、具体的なモデルがいることが言及された。

 

David Bowie - Heroes - YouTube

Though nothing, nothing will keep us together
We can beat them, for ever and ever
Oh we can be Heroes, just for one day

 

長いトンネルを抜け、風を受けて、光の方へ向かって両手を広げる。

今のこの時間は、ずっとは続かないけれど、この瞬間は未来へ繋がる。

 

あとがき

原作者が監督もしている利点として、映像として描かないものをしっかり選別していると感じた。

青春映画として後味のいいものに仕上がっている。

作中、「ロッキー・ホラー・ショー」のイベントが登場するが、「『人と違うこと』を祝福していること」が評価され、アメリカの各地で長くこういったイベント上映が行われていたらしい。 

 

原題:The Perks of Being a Wallflower

監督・原作:スティーブン・チョボスキー

出演:ローガン・ラーマン / エマ・ワトソン / エズラ・ミラー / メイ・ホイットマン / ポール・ラッド / ニーナ・ドブレフ / ケイト・ウォルシュ / ディラン・マクダーモット / メラニー・リンスキー / ジョーン・キューザック

ウォールフラワー(字幕版)

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