午前3時の太陽

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「私は君を泣かせたい」1巻(文尾文)見守りたい、その泣き顔を

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻 (ヤングアニマルコミックス)

「私は君を泣かせたい」は文尾文(ふみお あや)による漫画作品。

2016年からヤングアニマルで連載を開始した。

君の涙が、私の心を融かしていく―。他人に弱みを見せない優等生と、自分を隠さない不良少女。決して出会うことの ない2人を「涙」が繋ぐ。「2017年、次にくる百合漫画!」と大評判の、優しいガールズストーリー。

(私は君を泣かせたい 1|白泉社より) 

仮面優等生と不良少女の秘密

相沢羊(あいざわ よう)は猫をかぶっている。

クラスメイトとの交流もそつなくこなし、教師からの印象も上々。

後々自分に帰ってくると思えば勉強も苦ではない。

そんな彼女が一番安らげるのは、放課後の映画を観る時間である。

幽霊部員ばかりの映画研究部で部長の肩書を手に入れ、悠々自適に過ごしていた。

 

その日、行きつけの映画館に訪れた羊は、偶然クラスメイトに遭遇する。

スカジャンにロングスカートの不良少女で、絶対に関わりたくないタイプ。

相手に気付かれないうちに立ち去るつもりだった。

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻より、映画を観て泣く虎島ハナ
(「私は君を泣かせたい」1巻より)

彼女の大粒の涙を見るまでは。

 

仕方なくハンカチを差し出した事がきっかけで、羊は彼女・虎島ハナ(こじま はな)と関わることになっていく。

とはいえ、学校での彼女はよく目立つ。 

これまで優等生を演じてきた羊からすれば、異端児である彼女と親しくして同類だと思われるのは不本意だろう。

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻より、教室で話しかけられたくない
(「私は君を泣かせたい」1巻より)

一方、ハナは外見に似合わず、人懐っこくて泣き虫だ。

羊にきつく当たられてキョトンとする表情や、優しくされて笑顔になるとこなど彼女の素直さが出ててすごくいい。

これは羊じゃなくても泣かせたくなってくる。 

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻より、移動教室を教える相沢羊
(「私は君を泣かせたい」1巻より)

この二人は正反対のようでいて、周囲に弱みを見せたくないという点で共通している。

すでにお互いの本性を知っているため、一緒にいる部活の時間は素の部分を出せる貴重なひととき。

羊の方はまだ壁が見られるので、彼女が心を開いていく過程を描いているとも取れる。

とすれば、タイトルにある泣かせたい君は双方を指しているのかもしれない。 

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻より、姫川さんの誤解
(「私は君を泣かせたい」1巻より)

百合要素はこの二人よりもクラスメイトの姫川さんのほうが持ってそう。

クラスに馴染んでいく過程で、彼女の存在は欠かせない。

公式の紹介で百合って言っちゃってるけど、ここまでは健全な友情ものだし、そのままでいいと思うんだよね。

「私は君を泣かせたい」(文尾文)1巻より、初めてハナを名前で呼んだ羊
(「私は君を泣かせたい」1巻より)

一方で、相手を泣かせたいというのはSっ気と独占欲の表れだし、自分だけが知る姿を見たいということでもあることだし。

なんというか、惹かれるタイトルだね。

 

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