「荒ぶる季節の乙女どもよ。」は岡田麿里(原作)、絵本奈央(作画)による漫画作品。
別冊少年マガジンで連載中。
帯の言葉は、「誰かとどうしてもしなくちゃいけないとしたら誰としたい?」。
新菜の「死ぬ前にセックスがしたい」発言より“性”に翻弄され始めた文芸部。幼なじみ・泉の自慰を目撃した和紗は、彼への好意を自覚する。変化が訪れた二人の関係性が、彼女を思い悩ませる……。
前回はこちら。
文芸部に廃部の危機
ささやかな活動を続けてきた文芸部に、存続の危機が訪れた。
彼女たちが音読する作品の内容が卑猥であると他の部からクレームが入っているという。
心当たりが無いでもなかったが、文学作品を鑑賞することが本来の目的であり、一部の芸術的とは言えない表現に苦慮しているところでもあった。
部にとって不利なことに、現在顧問が不在という事実がある。
前任の顧問が定年退職してから誰もなり手がいないのだ。
大事な居場所を失わないように署名活動に励む部員たち。
新しい顧問を見つけて校長たちを説得することができるのか。
泉と和紗は
一方、プライベートの見られたくない場面を和紗に目撃されてしまった泉。
思春期の男の子にとってこれはかなり痛い。
これが親とかであったなら、大人になってから笑い話にできる可能性もあるが、同い年の異性となるとどうだろうか。
恋愛には無頓着なように見える彼も、いろいろ考えているようだ。
中学からの和紗の変化に対して気遣いを見せる場面も度々ある。
和紗は彼に対しても自分に対しても変わらないでと願うが、この泉の一面は大人に変わりつつあるからとも思えるし、幼なじみを大事に思う本質的な部分が変わらないからとも言える。
泉の隠していたDVDのシチュエーションが通勤バスであることを深読みする和紗がいい。
この二人は気になるところで次巻に続くが、同日発売の別冊少年マガジンで続きを追えるようになっている。
恋、したことある?
もーちん(須藤百々子)はまだ男の人を好きになったことがないという。
そのことで和紗の悩みの力になれないのではないかと気にしてもいる。
通いだした予備校では男子に話しかけられたりもするが、全く関心を示していなかった。
彼女の初恋も今後描かれていきそうであるが、新菜に相談している時に見せた表情が気になった。
もしや百合もありなの? と思わせてくれる。
この時、新菜が意味深な発言をしているんだけど、彼女が文芸部に所属している理由や言動の意味が見え始めてきた。
1話からの彼女の表情と言い回しを一つずつ見返さなければという気になる。
おそらく彼女にとっては他の四人とは違う意味で未知の世界なのだろう。
クラスメイトに言われた「かわいい」の言葉で、曽根崎先輩の心は揺れていた。
生真面目で潔癖なところもある彼女は、周囲からは取っ付きにくいと思われているようだ。
地味な見た目の口うるさい委員長タイプ。
外見を変えればクラスのみんなとも馴染めるだろうか。
雑誌の切り抜きを持ち歩くようになった彼女の変化もみどころ。
彼女と仲良くなりたそうなクラスのギャルも気になる。
あとがき
2巻も安定の面白さ。連載版の5話から8話までをそのまま収録したようだが、出張読み切り版も入っているとうれしかった。