「君は春に目を醒ます」は縞あさとによる漫画作品。
月刊LaLaで2017年5月から連載を開始した。
帯の言葉は「年の差、同級生、どっちの恋もあなたとする。」
小学4年生の絃は同級生の弥太郎にいじめられ泣いてばかり。そんな絃を優しく守ってくれるのは7つ年上の千遥くん。だけど千遥は治療でコールドスリープをすることに…。
―――待ち続けて7年後。千遥は目を覚まし、絃と同級生に。憧れのお兄ちゃんから同級生に変化した距離感に、絃はドキドキで!?(「君は春に目を醒ます 1|白泉社」より)
7歳違いの同級生
岩永絃(いわなが いと)には、小さい頃からいつも守ってくれる男の子がいた。
7歳上の兄のような存在で、近所に住む日下千遥(くさか ちはる)。
彼は同年代の子たちとは違い、おとなの余裕があって優しかった。
親の帰りが遅い彼女の面倒をよく見てくれて、あこがれの幼なじみ。
このままずっと一緒に過ごすことができればよかったのだが…
千遥は余命少ない難病であり、数年後にできるという特効薬に望みをかけ、コールドスリープを行うことになる。
7年後、泣き虫だった小さな女の子も、高校生になった。
再び会えた時にがっかりさせないように、強くしっかりした子に成長した彼女の前に、待ち焦がれた千遥が現れる。
新たに同級生として。
序盤からSF的な始まり方をするが、特に未来っぽさもなく、彼らを同級生にするためだけのものだと思われる。
この辺はあまり深く考えないほうがよさそう。
千遥にとっては7年の月日も昨日のことのようで、絃への接し方も昔のままの感覚で行動してしまう。
小学生の頃から恋心を抱いていた絃にとってはうれしくもあるが、子供ではなくなった今では周囲の目も気になるところだろう。
実の妹のような、放っておけない大事な子。
かつての後輩とのやりとりでも、溺愛ぶりが浮かんでくる。
でもどんなに大事にされていても、それは恋愛感情からではない。
距離は近くても、遠い存在。
彼らは会えなかった7年という時間の重さを感じながら、新たな関係を築いていく。
お互いに好きすぎるのだけれど、千遥の場合は娘がかわいい父親のような印象もある。
そして、いじめっこだった沖弥太郎(おき やたろう)が二人の理解者になっているのもいい。
彼は1話時点ではただのクソガキだったが、成長後はその印象を覆してきた。
絃への片思いを続けながら、千遥の目覚めるのを待っていた一人でもある。
彼女の笑顔のために見守るキャラになるのか、ワンチャンスあるのか、現状一歩退いてるところだけど今後が気になるね。
動き出すとすれば千遥が絃を女の子として意識するところからだろうから、もうしばらく時間は必要なはず。
気持ちに気付いていないことはないとは思うけど、どうなることか。
なお、表紙と小道具で使われる花はビオラとのこと。
花言葉はいくつかあるけど、良さそうなのは「私を思ってください」かな。
11月24日発売のLaLa1月号で続きの5話が読める。