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「レンタルおにいちゃん」1巻(一色箱)孤独な少女に家族のぬくもりを

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻(ガンガンコミックスpixiv)

「レンタルおにいちゃん」は一色箱(いちいろ はこ)による漫画作品。 

ガンガンpixivで2018年3月より連載を開始した。

もともとはSNSを中心に発表されていたものらしく、それまでのストック分に大幅な描き下ろしページを加え今回の1巻発売となっている。

帯の言葉は、「少女がレンタルしたのは偽兄(ニセモノ)との温かく優しい幸せな時間」。

表紙の仲のよさそうな兄妹の姿も、制限時間付きのものである。

両親の他界…優しかった兄の豹変…独りぼっちで傷ついた少女は昔の兄の優しさを求め、“おにいちゃん”をレンタルする―――お金で。「レンタルでも、私は“家族(ぬくもり)”がほしい。」pixiv&Twitterの超話題作が待望の書籍化!!! 本書限定70P以上の描き下ろしを収録!!!

(「レンタルおにいちゃん 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスpixiv)」より)

叶実とおにいちゃん

立花叶実(たちばな かなみ)には両親がいない。

二年前に交通事故で亡くしてから、兄と二人で暮らしてきた。

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻より、レンタルおにいちゃんとお出かけ
(「レンタルおにいちゃん」1巻より)

休日には、デパートで買い物をしたり、レストランで食事をしたり、普段の寂しさの分を取り戻すかのようにはしゃぐ姿が見られる。

しっかりしているとは言え、まだまだ甘えたい年頃なのだ。

そんな彼女を温かく見守る彼も、年の離れた妹を溺愛する優しい兄のようであった。

約束の時間が来るまでは。

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻より、レンタルの時間は終了
(「レンタルおにいちゃん」1巻より)

実はこの二人は兄妹ではない。

彼女と契約を交わしているレンタルおにいちゃんなのだ。

 

タイトルから予想できることではあるが、アラームが鳴った時の彼女の表情がこわばるのが不憫だ。

血の繋がらない他人との交流が、今の彼女の精神的な支えとなっているらしい。

確かにお金の受け渡しを除けば、傍目には仲良し兄妹のようにしか見えないくらいであるし、その幸せそうな時間が続けばどんなにいいだろう。

そんな一時に頼りたくなるほど、彼女の日常はハードモードなのか。

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻より、豹変したお兄ちゃん
(「レンタルおにいちゃん」1巻より)

実の兄は両親の死から別人のように冷たくなった。

部屋に引きこもり誰とも関わりたがらない。

たった一人の妹ですら、近付くことを拒絶する。

彼をここまで豹変させたものは何だろうか。

お金目当てで近寄ってくる親戚に失望している場面はあったが、この辺の描写が薄いので掘り下げてほしいところ。

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻より、レンタルを提案する慎
(「レンタルおにいちゃん」1巻より)

1巻では重めの展開が続くが希望はある。

このレンタルおにいちゃんのシステムが彼の好意から来ているということ。

叶実の、優しいお兄ちゃんに戻って欲しいという願いを尊重して接していること。

彼も過去に似たような経験をしていそうだが、追々描かれていくだろう。

「レンタルおにいちゃん」(一色箱)1巻より、お金を払いたいんです
(「レンタルおにいちゃん」1巻より)

彼女はまだ諦めていない。

レンタルおにいちゃんへの気持ちが本物のお兄ちゃんを超えてしまわないように、お金を払っているのは彼女なりの線引きのようだ。 

一番の愛情を注いでくれるのは家族であって欲しい。

実の兄との関係が修復されることに越したことはないのだが、彼女が笑顔でいられる時間が増えていくといいよね。

2巻の予告での雰囲気が救いだ。

そして新キャラのお姉さんが気になる。

 

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