午前3時の太陽

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「さよなら私のクラマー」44話(新川直司)もう一度一緒にサッカーを

「さよなら私のクラマー」(新川直司)44話より、子供時代の田勢と宮坂

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

 

前回はこちら。 

ポリバレントなフットボーラー

興蓮館高校を相手に追い上げを見せる蕨青南の選手たち。

中盤底に下がったキャプテンの田勢を中心に、女王に引けを取らない働きぶりである。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)44話より、田勢の存在で中盤の連携が強固に
(「さよなら私のクラマー」44話より) 

守備陣は長い付き合いの2年生組中心なので連携を取りやすいというのもあるが、田勢自身が複数のポジションを経験してきていることが大きいようだ。

深津監督によると、CBとGK以外は一通りやったのではないかとのこと。

持ち前の性格と器用さで順応してみせる彼女は、中学時代から重宝されてきたらしい。

そうせざるを得ないチーム事情、要するに弱小チームで育ってきたが故なのだろう。

現在は前線で起用されることが増えているが、司令塔の方が向いているのかもしれない。

曽志崎もいるので贅沢な悩みになりそうだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)44話より、白鳥家の本懐
(「さよなら私のクラマー」44話より) 

高校進学の時にはもっと強い学校に行くことも可能だったはずなのだが、田勢はあえてこの弱小校を選んで入学してきた。

憧れの選手が母校に指導者として帰ってくるのを期待してだと思われるが、直接の言及はされていない。

今回初めて、その情報元が近所のお好み焼き屋のおばちゃんだということが判明するのである。

この辺、すごく地元っぽい。

嘘か本当か定かではない噂に、それでも夢を見たんだろうね。

子供時代に参加したサッカー教室での一コマから、そのお好み焼き屋が実は身内の経営する店らしいことがうかがわれる。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)44話より、憧れの選手のサッカー教室
(「さよなら私のクラマー」44話より) 

当時の出来事が憧れるきっかけになったのかどうか。

子供時代に会ったことがあるというのは、7話での回想と矛盾するので後付けなんだろうけど、こういうエピソードは好物だ。

 

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「さよなら私のクラマー」43話(新川直司)勝つのは私たちだ

「さよなら私のクラマー」(新川直司)43話より、来栖と田勢のキャプテン対比

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

43話は、一進一退を続ける両チームだが…

 

前回はこちら。

ワラビーズの反撃始まる?

本来のポジションから変わっている選手たちの活躍で、徐々に蕨青南の流れになりつつある。

司令塔の不在による緊張感がよい方向に働いているというのもあるだろう。

一歩引いたことで視野が広がり才能を開花させそうな者、相性の問題を解決し持ち味を生かしている者、そしてチームのまとめ役として力を発揮している田勢もその一人。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)43話より、ポジションが変わったのはあんたもだよ
(「さよなら私のクラマー」43話より) 

もともとキャプテンとして頼りになる存在であり、攻守にバランスの取れた器用な選手であるが、この試合では特に曽志崎の穴を埋める役割もこなしている。

守備ブロックを押し上げて攻めに出た今の状況では彼女の存在は欠かせないのである。

一時はまともな試合になるのかどうかも危ぶまれたくらいなのに、終了するまでどうなるか分からない展開になってきた。

これで曽志崎が帰ってきたらと考えると、楽しみが増えるというもの。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)43話より、守備の間に強引に割って入る恩田
(「さよなら私のクラマー」43話より) 

あとはこの流れのまま結果が伴うといいのだけれど。

数的不利を覆すために、周防と恩田には2人で3人を攻略することが課せられている。

相手としても彼女らがボールを持てば2枚は付けたいところだが、それが常に可能な状況なのである。

守備を引き付けつつキープしてパス出しをすることを要求されるが、興蓮館を相手にそれができる存在がいることで、ある程度の不利は解消されていると言えなくもない。

負担は大きいものの、その上で「秒殺しろ」と指示するところは深津監督らしいか。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)43話より、恩田のクロスに白鳥は
(「さよなら私のクラマー」43話より) 

脱げたスパイクを履き直す間も惜しんで上げたクロスの結果はいかに。

 

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「さよなら私のクラマー」42話(新川直司)白鳥ついに覚醒!?

「さよなら私のクラマー」(新川直司)42話より、監督のマネをする越前

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

42話は、左サイドに移っていた白鳥に変化が見られる。

 

前回はこちら。 

主役は最後に登場するものよ

蕨青南の選手たちの決断に、深津監督が動いた。

6番の小紫に代えて越前を投入し、興蓮館の攻撃の芽を潰しにかかる。

前試合での彼女の働きぶりは相手も把握済みで警戒はしてくると思うが、勝ちを諦めていない選手たちへの後押しとなるだろう。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)42話より、視界が開けた白鳥
(「さよなら私のクラマー」42話より) 

右サイドへ移った周防の活躍は監督の期待通りであったとして、もうひとりの白鳥はと言うと…

いつもと違う感覚に戸惑っていた。

けれど調子が悪いわけではない。

むしろ所々キレのある動きを見せているし、オフサイドを取られて無効になったものの、DFを振りきってゴールも奪って見せた。

オフサイドなのはいつも通りと言えなくもないが、今日の彼女は一味違うようなのだ。

球技大会でも活躍していたように運動は元々得意な方だしポテンシャルは感じさせるものを持っている。

そんな彼女をサッカーに駆り立てるものが何なのか、描かれる日が楽しみだったりする。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)42話より、白鳥を左サイドに置いた理由
(「さよなら私のクラマー」42話より) 

白鳥に不足しているものは経験なのではないかという気がしているのだけれど。

そもそも中学時代にサッカー部に所属していたのかどうかも不明なのであった。

そんな状態でもスタメンを外れたことがないというのはすごいのではないだろうか。

いつか彼女の活躍でワラビーズが救われる日が来ないとも限らない。

それがこの試合になったりするのか?

「さよなら私のクラマー」(新川直司)42話より、フットボールが楽しくて仕方ない
(「さよなら私のクラマー」42話より) 

深津監督も試行錯誤の中で彼女の生かし方を掴みかけているようだ。

オフサイドを取られるのは狙いはいいはずだから、攻めた結果として開眼を待ちたい。

案外、本人の言う通りパス次第で化けたりして。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)42話より、あの駄鳥が初めて活躍してるよ
(「さよなら私のクラマー」42話より) 

白鳥の時代、来てもいいよ?

あと能見コーチ、スワンに対して辛辣過ぎじゃないですかね。

 

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「さよなら私のクラマー」41話(新川直司)弱小には弱小の戦い方がある

「さよなら私のクラマー」(新川直司)41話より、ウチの最高戦力をぶつける

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

 

前回はこちら。

恩田を生かせ

興蓮館のエース・来栖の活躍で再び引き離されるワラビーズ。

後半も半ばを過ぎた時間帯に、なかなかきつい状況になってしまった。

相手の強さと曽志崎の不在を考えれば絶望的と言ってもいい。

ここから何ができるのか、選択肢は多くないのであるが…

=
(「さよなら私のクラマー」41話より)

それでも選手たちの目はまだ死んではいない。

しかもこの試合、勝つ気でいる。 

今大会での大きな収穫は彼女たちの精神的な成長だろうね。

負けることがちらつかないわけではないが、そんなことは試合が終わってから考えればいいのである。

来栖に連取されたとは言え、守備はきちんと機能している。

あとは相手より点を取るために攻撃の機会を増やしたいのだ。 

=
(「さよなら私のクラマー」41話より)

宮坂の分析によれば、ボールの出所である相手の21番(藤江梅芽)に対するプレッシャーが甘く、結果として恩田を生かせていないという。

ここのところは曽志崎がいないためにできたスペースでもあるので、この試合の弱点とも言うべきところ。

そのために彼女たちが選んだのは、藤江妹へのマッチアップで恩田をぶつけ、それをカバーするために守備ブロック全体を押し上げることだった。

どこかで見たね。

=
(「さよなら私のクラマー」41話より)

一か八か、ここを抜かれたら終わりなのだけれど、このまま大人しく負けるよりは掛けてみる価値はある。

もう次を考える必要はないのだし、もともとテストマッチなわけだし。

=
(「さよなら私のクラマー」41話より)

あと恩田もそうなんだけど、ここまで大人しい選手がいるよね。

ここできたかと。

ここぞという所で決めてくれる彼女は、本当に嗅覚がいいんだと思う。

 

単行本11巻は2020年2月17日に発売。

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「さよなら私のクラマー」40話(新川直司)特別な選手と興蓮館の底力

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、キャプテンマークの似合うフットボーラーだ

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

 

前回はこちら。 

天才を追う者:来栖編

インターリーグ決勝戦も終盤に差し掛かったところで、興蓮館高校は攻撃の層を厚くしてきた。

リードしている側としては守りきればいいわけで、その方が確実であっただろうが、彼女たちのプライドがそれを許さないようだ。 

インターハイを制した日本一のチームとして、また個の力に頼った蕨青南のようなチームには格の違いを見せつける必要がある。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、子供時代の来栖未加と梶みずき
(「さよなら私のクラマー」40話より)

キャプテンでエースの来栖未加は、子供の頃からひとりの選手を追ってきた。

同世代の中でも一際輝きを放つ天才・梶みずき。

久乃木学園や世代別代表でも活躍する彼女を知らないものは、同じサッカー選手ならばそうはいないはず。

先日のインターハイで前年の梶に続いて大会得点王になった来栖は、理想とは違ったものの一つの目標を達成したと言えるだろう。

それなのに、今回の試合前の観客席で会った梶の関心が自分には全く向いていないことを思い知らされたのであった。

そう考えると、あの来栖の表情もわからなくもない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、チームに不可欠な選手こそ特別な選手
(「さよなら私のクラマー」40話より)

一方的なライバル意識、それでも追える立場にあるくらいには結果を出していたんじゃないだろうか。

それは彼女が努力を惜しまないタイプであり、ボロぞうきんみたいとか泥くさい女とか言われるほど試合の度に全力を出し切る選手であることに理由がある。

そんな彼女にとって、興蓮館での高萩監督や藤江との出会いは幸運だったに違いない。

彼女自身は羅刹と表現していたが。

凡人でも勝てるチーム、才能に左右されないシステム作りを掲げた監督のもと、超えられないと思っていた壁を超えるための力を手に入れた。

個人ではできないことでも、チームでならできることがある。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、監督と藤江の方を振り返る来栖
(「さよなら私のクラマー」40話より)

以前の回想シーンで藤江は彼女のことを凡百の天才と表現していたが、それは最大の賛辞だったのかもしれない。 

日本一のチームを率いるエースとして、誰もが認める姿がそこにある。

これは蕨青南にとっては厳しいか。

 

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「さよなら私のクラマー」39話(新川直司)目指すのは凡人最強のチーム

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、華麗に勝つ責務がある

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

39話は、追い上げられた興蓮館が動き出す。

 

前回はこちら。

興蓮館の反撃

周防の活躍で興蓮館へ迫ろうとするワラビーズ。

それに対する相手の答えとは?

格の違いを見せつけて、美しく華麗に勝つことである。

それは日本一のチームとして、これからも女王として君臨しようとするチームとしての責務であると。

たとえテストマッチと言えど遅れを取るわけにはいかないのだ。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、いつもボロぞうきんみたいッス
(「さよなら私のクラマー」39話より)

同時に、ワラビーズとしてはそこが付け入る隙でもある。

全体的に引いて守られれば逆転は難しく、そんな状況になる前に追いつきたいのが本音。

実際のところ、興蓮館の藤江の頭には自陣でボールを回してカウンターを狙わせる考えもあったようだ。

だが、インターハイ得点王の来栖未加をはじめとする選手たちは攻撃を厚くすることを選択するのだった。

むしろ極振りに近いかたちで仕掛けてきている。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、プレスの強度が上がった
(「さよなら私のクラマー」39話より)

安全に勝とうなどとは思わない。

リスクを背負ったままで自分たちの方が上だと証明しようとしているのだろう。

恩田や周防のゴールでワラビーズに守備陣を突破する力があることを理解したからかもしれない。

熱く込み上げてくるものがあるせいかもしれない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、小さくまとまるよりずっといい
(「さよなら私のクラマー」39話より)

高萩監督はそのやり方を見守ることにするようだ。

今でこそ強豪校として名を連ねているものの、少し前までの彼女たちは打倒久乃木学園に燃えるハングリーなチームだったのである。

華麗とは程遠い、泥臭い選手たちによる凡人のチーム。

ただし、目指すのは最強の凡人のチームである。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、興蓮館の厳しい練習
(「さよなら私のクラマー」39話より)

そのために地獄のような練習にも耐えてきた。

天才でなくたって勝てる方法を模索してきたのである。

華麗かどうかはともかく、ここからが興蓮館というチームの底力がみられる展開になりそうだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)39話より、来栖はドロくさい女
(「さよなら私のクラマー」39話より)

そういうところこそ興蓮館らしさであり、梶の認める来栖の姿なんだろうね。

試合も終盤に差し掛かりそうな時間、ここでの1点は大きいが…

 

最新の単行本10巻は10月17日に発売予定。

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「さよなら私のクラマー」38話(新川直司)チームメイトとの絆

「さよなら私のクラマー」(新川直司)38話より、女王の矜持のもとに許容されている

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

38話は、周防が興蓮館ゴールに迫る。まるごと周防回!

 

前回はこちら。 

興蓮館に肉薄するワラビーズ

周防を右サイドに入れ、カウンターでの反撃を狙うワラビーズ。

彼女のスピードを生かして活路を見出そうというのである。 

人数が少ないための苦肉の策ではあったが、うまいこと機能しているようだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)38話より、周防のシュート
(「さよなら私のクラマー」38話より) 

いい形でフィニッシュまで持っていける場面が度々訪れている。

相性のあまりよくなさそうな藤江梅芽から離す意図があったのだと思うが今のところ功を奏しているらしい。

利き足しか使えない問題も影響なさそうだ。  

そんな中で毎回顔を出しているのが八重歯カワイイやつこと九谷である。

深津監督も彼女に言及していたけど見込み通りということかな? 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)38話より、周防を止める九谷
(「さよなら私のクラマー」38話より) 

フットサル大会の時は荒っぽさの目立つ選手な印象だったが、今では興蓮館にとって欠かせない存在なんだろうね。

ここまで重要な選手になってるとは思わなかったけど。

しかし佃は周防のこと好きすぎでしょ。

興蓮館の選手の中で周防を単独で止められるとするなら九谷くらいのものだというのが深津監督の見解だった。

相手は1対1をさせるつもりはなさそうだが、それはそれで都合がいいのかもしれない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)38話より、囲まれ慣れしてやがる
(「さよなら私のクラマー」38話より) 

周防が敵を引き付ければ引き付けるほどチャンスも生まれやすくなってくるだろう。

ボールを取られなければの話ではあるが、この試合の彼女は一味違う。

中学の頃のぼっちだった不遇時代に培った単独突破の経験が遺憾なく発揮されたプレーは見ものである。

昔と大きく違うのは、今の彼女にはフォローしてくれる頼れる仲間がいること。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)38話より、周防を活かす方法を考えるチームメイト
(「さよなら私のクラマー」38話より) 

自分が潰されたら終わりではなく、繋いでくれる仲間がいる。

あの日の続きを、な展開が熱いエピソードだった。

そして手薄になった左サイドで更なるドラマがあるのだろうか。

スワンが活躍する流れになったり?

あまり想像はできないんだけど見てみたい気はするね。

 

最新の単行本10巻は10月17日に発売予定。

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「さよなら私のクラマー」37話(新川直司)深津監督に秘策あり?

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、ぶちのめしがいがあるわ

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

37話は、曽志崎の退場で10人になったワラビーズ。打開策はあるのか。

 

前回はこちら。

深津監督の秘策

高校女子サッカー日本一のチーム興蓮館を相手に、蕨青南の苦戦は続く。

曽志崎の退場で状況はさらに厳しくなっていたが、選手たちはまだ諦めてはいない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、恩田の得点で復活するワラビーズ
(「さよなら私のクラマー」37話より) 

恩田のゴールで空気が変わったのもある。

もともと負けず嫌いなメンバーが集まっているのに加え、ここまで着実に力を付けてきた。

公式戦での負けらしい負けといえば浦和邦成戦くらいのものなのである。

そこからさらに成長した彼女たちは流れを変える地力は持っているはず。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、退場を詫びる曽志崎
(「さよなら私のクラマー」37話より) 

普段からチームを支えてくれている曽志崎に負い目を感じさせないためにも、ここは奮闘したいところだろう。

そして、カツオちゃんに喧嘩を売られた形の深津監督の腕の見せ所である。

強敵相手に一人少ないこの状況で何ができるのか。

とはいえ、手段は選べるほど余裕はない。

チームのストロングポイントを最大限に活かせる方法とは。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、蕨青南のストロングポイントとは
(「さよなら私のクラマー」37話より) 

答えはシンプルに守りきってのカウンター狙いであった。

興蓮館の守備陣をぶち抜ける力を持つとすれば周防と恩田だろう。

特にトップスピードに乗った周防を止めるのは容易ではない。

以前対戦した久乃木の佃や浦和のチカ先輩は周防を抑えるのがうまかったが、それは彼女に力を出させないことで対処していた。

走らせなければ弱点も多い選手なのだが、いざ走り出したら手がつけられない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、周防が右サイドに?
(「さよなら私のクラマー」37話より) 

何より、曽志崎の窮地を救うのは周防であってほしいみたいなのはあるよね。

監督の秘策その1は周防を右サイドに持ってきたこと。

代わりに白鳥が左に入ってるけど、これも後々生きてくるのかな?

警戒もされるだろうし何度もは通用しないかもしれないけど、恩田が見せたゴールのおかげで掻き回せる可能性はある。

かつて、久乃木の鷲巣監督が語った「混沌とした局面を打開するのは、結局のところ個の力だ。」 をやろうとしているんだろうね。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)37話より、やり返して嬉しそうな九谷
(「さよなら私のクラマー」37話より) 

ちなみに15番は九谷なんだけど、深津監督にずいぶん評価されているようだ。

彼女は恩田へのリベンジのために出場を志願し、ついにそれを果たしたのだった。

セリフまでお返ししてやりきったうれしそうな表情がいいね。

 

最新の単行本10巻は10月17日に発売予定。

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「さよなら私のクラマー」36話(新川直司)ワラビーズ最大の危機

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、チームを落ち着かせる曽志崎

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

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36話は、勢いに乗り出した興蓮館を相手に混乱するチームをフォローしようとする曽志崎だったが…

 

前回はこちら。

曽志崎が離脱!

藤江梅芽を中心とした興蓮館の攻撃に、蕨青南の守備が乱れ始めていた。

準決勝までのデータとは強さも戦い方もまるで違う相手。

序盤こそ何とか凌いでいたものの、傾いた流れは止まりそうにない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、ファールで梅芽を止めに行く曽志崎
(「さよなら私のクラマー」36話より) 

このまま大量失点もあり得るのではとも思われたが、こんなときに頼りになるのはやはり経験豊富な司令塔の曽志崎である。

中学時代はキャプテンとしてチームを全国へ導き、世代別代表でもある彼女は強者と戦う際の心構えを理解している。

ファウルで作った時間で味方を落ち着かせる場面などは1年生とは思えぬ頼もしさだ。

蕨青南にとってなくてはならない存在であることは間違いない。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、曽志崎が退場に
(「さよなら私のクラマー」36話より) 

今回は、その曽志崎を欠いた状態で戦い抜かなければならない状況に置かれることになった。

まだ前半、リードを許したまま人数まで少なくなる緊急事態。

しかも相手は日本一になったばかりの最強の敵。

さすがにこれは無理でしょと思わざるを得ないところなのだが。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、何かを期待してるように見えますよ
(「さよなら私のクラマー」36話より) 

ここから逆転する目はあるのか、チーム最大の危機に選手たちの発奮は期待できるのか。

この絶望的な状況からなにができるのか見せてもらいたい気持ちはある。

カツオちゃん曰く、逆境でこそウチのダーリンはかっこいいんだからとのことなので、現役時代にそんな頼りになる姿を見てきたのかもしれない。

これから先、主力を怪我や出場停止で欠くことも当然出てくるだろう。

それをテストマッチでもあるこの試合で経験しておくのも結果的にはよかったと言えなくもない。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、試合の行く末を見届ける義務がある
(「さよなら私のクラマー」36話より) 

なんにせよ初めてのケースだ。

曽志崎のいないチームがどのような戦い方をするのか楽しみな部分もある。

少なくともここから勝つつもりでいる人間が二人はいるみたいだしね。

もしそれができるのならとんでもなく熱い展開になりそうだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)36話より、恩田のスーパーゴール
(「さよなら私のクラマー」36話より) 

深津監督の見せ場でもあるだろうし、高萩監督との現役時代のエピソードも絡めて描かれるだろう部分が見てみたい。

 

最新の単行本10巻は10月17日に発売予定。

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「さよなら私のクラマー」35話(新川直司)興蓮館高校の切り札

「さよなら私のクラマー」(新川直司)35話より、藤江梅芽は厄介な選手

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

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35話は、藤江梅芽を擁する興蓮館のターンが始まる。

 

前回はこちら。

天才・藤江梅芽覚醒なるか?

興蓮館高校の躍進の立役者であり選手たちの精神的な柱・藤江宇海の妹、梅芽。

まだ1年生の彼女は、チームに必要な最後のピース。

久乃木学園を倒して高校日本一になることを目指していた姉の宇海は、彼女が入学してくる今年を勝負の年と考えていた。

自分や来栖たちが及びもつかない才能をもっていることを感じているからだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)35話より、世界一のフットボーラーのお姉ちゃんにして
(「さよなら私のクラマー」35話より) 

一緒にインターハイに出ることは叶わなくなったが、その先にはもっと大きな夢がある。

それは妹が世界一のフットボーラーになる姿を見届けること。

恩田や井藤、国府の時も出てこなかった世界という言葉。

登場人物の中でも並外れたキャリアを持つはずの能見を超える逸材なのかもしれない。

試合前のやりとりでは、インハイ組からの飛び入りメンバーの中には入っていなかったと思われる。

おそらくは姉の事故を受けての精神状態を考慮してインターリーグの方に同行していたのだろう。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)35話より、藤江梅芽の働きぶり
(「さよなら私のクラマー」35話より) 

まだ遠慮がちで自分の持つ才能に自覚が薄い梅芽がその真価を発揮する最初の試合が蕨青南戦である可能性も?

インハイ組との連携も取れていて、次の世代では間違いなく彼女を中心としたチームになるだろうという気はする。

十分に厄介な選手なのだけど、この試合でリミッターの外れたプレイを見せられることになるはず。

ブレイク・スルーが待たれるのは恩田もなんだけど、ここのところおとなしすぎじゃない?

「さよなら私のクラマー」(新川直司)35話より、興蓮館の目標は久乃木に勝つだけではない?
(「さよなら私のクラマー」35話より) 

梅芽の機能しだした興蓮館を相手に、ワラビーズはどこまでやれるのか。

勝てる気は全然しない。

ただ、解説の浦川によると興蓮館の戦い方には疑問な点があるようで…

そこが付け入る隙になるのか、女王の風格を見せつけられるのか、はたして。

あとがき

今回までの内容が9巻になると思う。

発売日は6月17日に決定。

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「さよなら私のクラマー」34話(新川直司)興蓮館と藤江姉妹

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、藤江宇海は興蓮館そのものだった

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

34話は興蓮館の藤江姉妹のエピソード。

 

前回はこちら。 

何とか戦える?

インターリーグ決勝の興蓮館戦、全国を制したばかりのチームを相手にどこまで通用するのか、蕨青南にとっては自分たちの成長を確認できるチャンスである。

もちろん負けるつもりなどないが、このクラスの相手と試合できる機会はそうそうないだろう。

冬の選手権へ向けて大きく前進するためにも白熱した試合を期待したいところ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、カツオちゃんの知らない蕨青南の成長
(「さよなら私のクラマー」34話より)

懸念があるとすれば、敵の高萩監督がこちらの選手たちの能力を把握していることだが、彼女たちの動きも見違えるものになっているようだ。

当時は県予選の直後で燃える能見コーチがチームの強化に乗り出していたし、苦手な守備を深津監督に丸投げしていた時期。

今大会での躍進の一番の要因である守備陣の進化を、この試合で知ることになるはず。

事前情報と異なるのはお互い様か。

興蓮館と藤江宇海

興蓮館はバランス型のチーム。

久乃木や栄泉船橋のような特化型にはそれぞれ劣るものの、高いレベルで柔軟に使い分けることができることが強さの秘密らしい。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、久乃木学園こそ理想
(「さよなら私のクラマー」34話より)

今回は、その強い興蓮館を作り上げた藤江宇海(ふじえ うみ)の過去が明らかになる。

中学時代までの彼女は、常勝久乃木学園に憧れるサッカー少女だった。

むしろ鷲巣監督のファンだった。

日本が目指すべき理想を体現しているチームとして、彼女の中では特別な存在だったようだ。

その思いが強すぎたためか性格のためか、久乃木学園へ入学して活躍する道よりも、久乃木学園と戦う立場を選ぶのである。

しかも無名校への進学というおまけ付き。

高萩監督の就任が決め手になったのだとは思うけれど。

案外、恩田のように近いから選んだという線もあったりして…

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、藤江梅芽は正真正銘の天才
(「さよなら私のクラマー」34話より)

監督との相性はよかったのだろう。

入学してすぐに頭角を現し、後輩たちへの指導も熱心に行っていたという。

特に、パートナーとして鍛えられた来栖は、彼女のことを羅刹と形容するほどである。

それでも皆に慕われているのは、率先して結果も出してきたからなのだろうね。

その甲斐もあり、2年時には夏・冬ともに久乃木と日本一の座をかけて戦うことができた。

夢の達成まであともう一歩。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、梅芽の才能が発揮される
(「さよなら私のクラマー」34話より)

そして最後の差を埋める鍵となるはずだったのが、彼女が正真正銘一握りの天才と認める妹の梅芽(うめ)の存在である。 

日本一は達成したものの、相手が久乃木学園でないことには、藤江の意思を継ぐチームメイトたちも納得はしないだろう。

打倒梶に燃える来栖なんかは特にそう。

今度の冬の選手権が宇海の在学中ラストチャンスである。

ここで立ち止まるわけにはいかない。

 

単行本9巻の発売日は6月17日に決定。

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