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「ウィンターズ・ボーン」17歳の少女の家族を守る覚悟と強さ

ジェニファー・ローレンス主演映画「ウィンターズ・ボーン」

「ウィンターズ・ボーン」はデブラ・グラニク監督による2010年公開の映画。

行方不明の父を探す。家を、家族を守るため。

あらすじ

アメリカのミズーリ州、ヒルビリーと呼ばれるスコットランド系の人々が暮らす小さな村。
17歳の少女リー・ドリーの家に、保安官がやってくる。
麻薬製造の容疑で逮捕されていた父親が保釈中に姿をくらましていて、裁判への出頭を促しに来たのだった。

父親は保釈金の担保に家と土地を入れており、もし出頭しなければ家族は路頭に迷うことになる。

病気の母親と幼い弟妹を抱えたリーは父親探しを始める。

予告編動画 


映画『ウィンターズ・ボーン』予告編 - YouTube

 

非協力的な人々、村の掟

リーは手掛かりを見つけるために、知人や親戚の家を訪ね歩くのだが、誰も積極的に協力してはくれない。
それでも必死に行方を探すリーに理解できたのは、父が村の掟を破ったこと、それ以上深追いすると危険を伴うことだった。
閉鎖的な村、掟とは何か。
警察も当てにはならない。
家族を守るために、どうしても父を見つけなければならなかった。
たとえもうこの世にいないとしても。
 

家族を背負う強さ

最後まで暗い作品ではあった。 曇りがちで陽の当たらない、文字通りの寒村で、気丈に振る舞う少女は家族のために強くあらねばならなかった。
弟妹たちに銃の扱いを教え、獲物のさばき方を見せる彼女は、麻薬にも手を出さず、脅迫にも屈しない意思を持っていたが、母の前でだけ見せる顔は年相応の17歳の姿だ。
彼女に育てられた家族は負の連鎖を断ち切ることができるかもしれない。
しかし現実は厳しい。
立ち退きを免れたとしても、それはこの土地で暮らし続けていくということでもある。
ただ最後に少しだけ見せる笑顔にほっとする。
 

守るべきもの

リーは家族を守りたい、その一心での行動だった。
それは村人たちも同じ。
閉ざされたコミュニティの中で、やり方は乱暴だが困っているものには手を差し伸べる。
その代わり、生活を脅かすものには容赦はしない。
警察もうかつには手を出せない村のルール。
 「わたしもドリー家の一員よ」
 リーの言葉には、この村で家族と生きていく覚悟があらわれていた。
 

あとがき

主演のジェニファー・ローレンスは本作での演技で注目され、多くの賞を受賞した。
実際彼女の魅力で進んでいく映画だった。
伯父のティアドロップやミルトン家のメラブも渋いんだけど、ベテラン勢にも全然負けてない。
その後の出演作は、「世界でひとつのプレイブック」、「ハンガーゲーム」シリーズや「X-MEN」シリーズ。
そちらも観なければ。 
 


WINTER'S BONE - Official US Theatrical Trailer

オリジナルの予告編動画。日本版とだいぶ雰囲気が違う。

 

原題:Winter's Bone

監督:デブラ・グラニク

原作:ダニエル・ウッドレル

出演:ジェニファー・ローレンス / ジョン・ホークス / ギャレット・ディラハント / デイル・ディッキー / シェリル・リー / テイト・テイラー

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