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映画「ベル&セバスチャン」アルプスの村の犬と少年の友情

映画「ベル&セバスチャン」(ニコラス・ヴァニエ)

 

「ベル&セバスチャン」はニコラス・ヴァニエ監督による2013年公開の映画。(日本では2015年)

 フランスの元女優セシル・オーブリーが書いたベストセラー小説をもとにしている。

 

あらすじ

フランス東部にある、アルプス山脈にほど近い村サン・マルタン。

6歳になるセバスチャンは、養父のセザールとその姪アンジェリーナと一緒に暮らしていた。

大自然に囲まれたこの小さな村にも、心配の種が二つある。

近頃家畜を襲うようになった、野獣と呼ばれている存在。

ナチスの監視の目がのびてきたこと。

 

ある日、羊小屋から家に帰る道の途中で、セバスチャンは噂の野獣に遭遇する。

それは一匹の大きな野犬であった。

 

予告編動画

Belle and Sébastien / Belle et Sébastien (2013) - Trailer English Subs - YouTube

 

少年セバスチャンと野獣ベルの交流

セバスチャンには、この野犬が家畜を襲うようには思えなかった。

周囲の大人たちには秘密にして接触を図ろうとする。

 

野獣の犬種はグレート・ピレニーズという超大型犬だ。

フランスではルイ14世の時代から宮廷犬として飼われ、牧羊犬としても活躍した。

うちの近所でもたまに散歩している姿を見かけるが、初めて見た時はびっくりした覚えがある。

この大型犬が元飼い主に虐待され、野生化したのが野獣の正体だった。

ただ実際に家畜を襲う場面は目撃されたことがない。

セバスチャンはそこに疑問を抱く。 

 

噂に惑わされず、自分の目で見て判断しようとする勇気のある子供だった。

映像的にはこの野犬も初登場時から人懐っこそうなのだが、そこはかわいさで許される範囲だろう。

 

ベル&セバスチャンシリーズ

原作はセシル・オーブリーによって書かれ、フランスのテレビ番組としてシリーズ化され人気を博した物語。

当時は彼女の息子であるメーディが初代セバスチャンを演じたが、本作でも登場する。

ベルの出自を知る人物で、山で木材を運んでいる男だ。

新旧セバスチャンの交流から新たなシリーズへと受け継がれる。

 

スイスへの越境とナチスの影

時代は1943年、フランスの全土はドイツに占領され、辺境の寒村にもナチスの厳しい監視の目が光っていた。

アルプス山脈を挟んで東側はイタリアのトリノが、北側にはスイスのジュネーヴがある国境に近い土地。

この村の秘密は、ユダヤ人の国外脱出を手助けしていたこと。

案内を担当していた医師のギヨームの怪我で、ベルとセバスチャンに活躍の機会がやってくる。

 

山の向こうはセザールでさえ行ったことがない未知の場所。

セバスチャンはまだ見ぬ母がいるアメリカだと教えられてきた。

国境近いとは言っても、それなりの距離があり、季節は冬。

困難な旅になるが、この道を乗り越えることで彼らは少し大人になる。

続編の制作と音楽 

監督のニコラス・ヴァニエは元々冒険家であり、ドキュメンタリーが専門だったらしい。

冒頭の空撮から、崖下のカモシカの子の救出、アルプス越えの山々の雄大さなど、大自然の魅力が映像に凝縮されている。

その美しさと犬と少年のかわいさとで安心して子供と一緒に観れる作品である。

 

作中で使われる曲は、ZAZ(ザーズ)による「Belle」。

ZAZ - Belle (Live version) - YouTube

本編ではセバスチャン役のフェリックス・ボシュエが歌うバージョンもある。 

 

続編はすでに海外では公開されているようだ。 

Belle et Sébastien : l'aventure continue - Bande-annonce - YouTube

なんだろうこの展開。アンジェリーナ救出作戦なの?

 

あとがき

日本でも昔NHKでアニメ化されたことがあるが、その時のタイトルは「名犬ジョリィ」であった。

今では某バンドの名前のイメージの方が強いかもしれない。

 

本作は綺麗な映像で犬と少年の出会いと友情をじっくり描いている。

物語として面白いというよりは癒やし成分多めかな。

続編が冒険色が濃くなっているみたいなので期待したい。

 

原題:Belle et Sebastien

監督:ニコラス・ヴァニエ

原作:セシル・オーブリー「アルプスの村の犬と少年

出演:フェリックス・ボシュエ / チェッキー・カリョ / マルゴ・シャトリエ / ディミトリ・ストロージュ / アンドレーアス・ピーチュマン / メーディ・エル・グラウィ

続編も劇場公開はなかったがDVDが発売された

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