「曲がり角のボクら」は中村明日美子による漫画作品。
「阿部くんと黒羽さん」、「となりの吸血鬼」、「みんなきらきら」、「さくらふぶきに咲く背中」、「曲がり角のボクら」、「よろめきのボクら」の6編。
2009年に短編集として出版され、今年になってKindle化された。
阿部くんと黒羽さん
デビュー作です。何を描いたらいいか分からなくなっていた頃、もういいや好きなもの描こうと思い、メガネ。(あとがきより)
夏休みの補習期間中、職員室を訪れた黒羽キリコは、同級生の阿部くんと担任の手塚先生の別れ話の場面に出くわしてしまう。
学級委員で地味なメガネキャラの意外な一面。
つめがキレイ。こういう入り方は女性作家らしい。
やがて結婚する先生に、自ら別れを切り出しながらも吹っ切れない阿部くんを後押しする黒羽さん。
デビュー作との表記があるが、一般誌でってことなのかな?
さくらふぶきに咲く背中
同じ恋なんてない
本作で一番よかったのはこれ。
バレー部を引退した真理は、帰りの時間が変わった電車で幼馴染の葉子と幼稚園以来の再会を果たす。
幼い日の思い出と、叶わない恋。
真理は女子校の後輩たちから人気があり、そのうちの一人からの告白を断ったばかり。
一方、葉子は好きになってはいけない人が好きになってしまった。
作者はBL作品がよく知られているが、女の子同士の関係を描いたほうがずっといい。
それは恋愛であっても友情であっても。
逆に男性キャラは魅力に乏しいところがある。
曲がり角のボクら
その中で男性キャラがいいところを見せるのは表題作のこれ。
群像劇が描きたいなーと思い、タイトル先行で作りました。
(作者あとがきより)
四人の高校生たちによる群像劇。
学園祭の前になると、後夜祭でのダンスを一緒に踊る相手を探すために告白する男子が増える。
恩田もそのうちの一人だった。
背が高く、口数は少ないが女子にもモテる。
以前から気になっていた女子あゆに告白するが、男子たちの賭けの対象になっていたことが発覚して、という流れ。
なぜか恩田を敵視するまゆの友人のさや、恩田の理解者であるミドリも巻き込んで学園祭は進んでいく。
どっちかというと、ミドリくんのほうがモテそうなんだけど、この場面だけは恩田がんばった。
賭けのことが知られた際に、そのまま追いかけて弁解するでもなく、教室のカーテンに包まってめそめそ泣いているというありえない行動を取るのだが、これで帳消しか?
女の子は文句無しにかわいい。