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「とんがり帽子のアトリエ」2巻(白浜鴎)仕組まれた罠、ドラゴンとの対決

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)2巻 (プレミアムKC モーニング)

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツーで2016年から連載を開始した。

あこがれだった魔法使いの弟子になった少女ココは、魔法道具を買いに訪れた町で事件に巻き込まれる。

2巻は6話から11話までを収録。 

「魔法使いになれるのは、魔法使いとして生まれた人間だけ」という絶対の掟があるなかで、魔法使い・キーフリーの弟子になることを認められた「ふつうの人」のココ。彼女の「杖」を買うために、ココと、キーフリーの3人の弟子たちは魔法使いの街・カルンを訪れる。しかし、そこで奇妙な「仮面の魔法使い」によって、彼女たちは不思議な空間に招かれてしまう。そして、そこには巨鱗竜(ドラゴン)が――!!

(「とんがり帽子のアトリエ(2) (モーニングコミックス)」より)

 

前回はこちら。 

見知らぬ町とドラゴンの脅威

アトリエから一番近い魔法使いの町カルンに訪れたキーフリーと弟子たち。

魔材屋「星の剣」で道具を選んでいたココの前に現れたのは、幼い頃に見覚えのある仮面の人物だった。

母親を救う手掛かりを求めて後を追うココとテティアたちは、いつの間にか知らない場所に転送されてしまう。

そこに待っていたのは巨大なドラゴン。

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)6話より、ドラゴンに遭遇するココたち
(「とんがり帽子のアトリエ」6話より) 

人体に影響を及ぼす魔法は禁止されたものであり、つまりは仕組まれた罠だった。

窮地に立たされたココたちは生き残りを賭けドラゴンと対決することになる。

この頃の彼女たちはまだお互いに信頼関係を築けていないのだが、強大な相手を前に纏まっていく過程が見所。

禁止魔法を使うつばあり帽の存在が少しずつ明らかになっていく。

そしてなによりドラゴンが存在する世界だということが示された。

この異空間だからこそなのかは謎ではあるが。

ドラゴンを攻略する方法

ドラゴンと対決とは言っても、いったいどうやったらいいのか。

アガットの炎の魔法で少し怯む様子はあったが、ダメージまでは与えられない。

力づくではだめなのだ。

そこで彼女たちの考えた作戦がユニークだった。 

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)7話より、ドラゴンをダメにするクッション
(「とんがり帽子のアトリエ」7話より)

テティアが開発中の雲の魔法を応用した、「ドラゴンをダメにするクッション」。

アイデアを元に魔法陣を組み立てていく様子も描かれる。

キーフリー曰く、発想は杖さばきと並んで魔法の要になるものだという。

アガットがツンデレ要素を見せ始めた回でもある。

生活の中の魔法

その後のココ。

前回の事件で、実際に魔法を使う場面では見ているしかなかった彼女は悩んでいた。

自分だけが遅れていることが気になってしょうがない。

この世界では、魔法使いの家に生まれ、幼い頃から魔法に接してきた者が修業を重ねて魔法使いになるのである。 

それを考えると、彼女には経験が圧倒的に足りない。 

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)8話より、まずは慣れることが大事
(「とんがり帽子のアトリエ」8話より) 

師匠のキーフリーは、生活の中に魔法を取り入れていくアドバイスをする。

具体的にやっていたのは、料理の際の火加減。

炎の大きさや浮力をその都度コントロールしていく必要がある上に、おいしいものを食べたければ上手くなるしかない。

そしてキーフリーにも意外な過去が。

もうひとりの魔法使い

アトリエでの生活にも慣れてきたココだったが、まさかまだ会ったことのない住人がいるとは思わなかった。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)9話より、オルーギオは見張りの眼
(「とんがり帽子のアトリエ」9話より)

郊外型のアトリエでは、問題が起きた時に対処できるように「見張りの眼」が滞在することになっているという。

ここでは彼、オルーギオがその役目を担っている。

キーフリーとは付き合いが長く、苦労人のようだ。

普段は魔法器製作で部屋にこもっていて、しばらく出てこないことも珍しくないらしい。

ココからすれば第一印象がちょっと悪かったものの、うまくやっていけそうである。

こう見えてロマンチックなところもあったりする。

アガットの焦り

キーフリーの四人の弟子の中でも、アガットは特に勉強熱心である。

よく一人で部屋にこもって作業に没頭している姿も見られる。 

その分他人にも厳しくて、ココが弟子入りしたばかりの頃に当たりがきつかったりしていた。

未熟であることを許せないのか、早く一人前の魔法使いになることを焦っているように見える。

そんな彼女を師匠は心配している。 

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)10話より、アガットのトラウマ
(「とんがり帽子のアトリエ」10話より)

アガットの子供時代が垣間見られるエピソード。

周囲の期待と現実に苦しんでいたようだ。 

そのため、実力を認めさせたいという気持ちは強い。 

 

大雨の日、近くの川の橋が崩れアトリエに救助要請が来た。

実務に関わりたいアガットは同行を申し出るのだが… 

ココと関わることで少しづつ彼女も変わっていくだろう。

あとがき 

2巻は通常版と特装版の2種類あるんだけど、どちらもKindleで対応している。

特装版は30ページほどのイラストと初期設定の入ったミニ画集付き。

 

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