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「アインシュタインの怪物」1巻(宮永龍)ケモミミの魔女とアンデッドになった青年の冒険物語

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻 (デジタル版Gファンタジーコミックス)

「アインシュタインの怪物」は宮永龍による漫画作品。

月刊Gファンタジーで2015年7月号より連載を開始した。 

町外れに一人で住んでいるアインシュタインという少年は変だ。歳も取らないし子供のくせに薬学に詳しすぎる。「きっと魔女に違いない」。そんな噂が絶えない人物のもとに足しげく通う漁師の青年レルー。彼の身に襲い掛かる恐ろしい現実とは…!? 忌まわしくも愛おしいゴシックファンタジー。

(「アインシュタインの怪物 1巻 (Gファンタジーコミックス)」より)

丘の上の少年と漁師の青年

レルーは海沿いの街で父と住み込みの漁師コンセイユと三人で暮らしていた。

小さな町だが、平和で居心地が良さそうな土地である。

丘の上には薬学に詳しい少年アインシュタインが住んでいて、レルーもよく父の薬を作ってもらっている。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、丘の上の博士の家
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

住み始めた頃から年をとっていないのではないかと噂にもなっている不思議な人物だが、頻繁に通うレルーとは割りと気が合うようである。


最近、この町で人々を悩ませているのは、シーズンにも関わらず不漁が続いていること。

このままの状況が続くと生活が立ち行かなくなってしまうという。

意気盛んなレルーは、危険で避けられている漁場へ向かおうとするのだったが…

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、危険水域へ出る決意
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

このことが彼らの運命を大きく変えることになる。


多くの船乗りたちの命を奪ってきた危険水域に踏み込んだレルーたちも例外ではなかった。

嵐とサメの襲撃に会いながらも浜にたどり着こうとしていたレルーは、死の間際にアインシュタインに救われる。

彼にはどうしても死にたくない理由があった。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、どんな生でもか
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

たとえそれがどんな生であっても。

ケモミミ魔女と生まれ変わったレルー

これは魔女として生まれたアインシュタインと、人造人間として生まれ変わったレルーの二人が居場所を見つけるまでの物語かもしれない。

生にこだわったレルーに与えられたのは、皮肉にも、欲しかったものを全て失ったあとに残った生である。

そしてフランケンシュタインという新しい名前。

これからの生活は過酷なものになる可能性が高いだろう。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、博士は博士だ
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

一方、アインシュタインは魔女として数百年は生きてきたが、人目を避けながら暮らす生活に飽きてきていたようだ。

レルーの蘇生の際に、自分の心臓を与えてしまっていた。

そのため、魔女の心臓からつくられる血がないと長くは生きられない体になっている。

この二人はお互いがいないと生きていくことが困難なのである。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、旅先での食事
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

かくして二人の旅が始まっていくが、辛いことばかりでなさそうなのが救いだ。

正体がバレていない場合に限られるのかもしれないが、序盤はむしろ楽しそうですらある。

博士(アインシュタイン)の反応からすると、魔女であることや、けものの耳であることを知っても態度が変わらなかった相手はレルーが初めてなのかもしれない。

レルーの言葉に照れる様子がいちいちかわいい。

 

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