午前3時の太陽

おすすめの漫画と注目の新刊コミックのレビューブログ

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)クリスマス、寄宿舎、二人きりの休暇、作者初の長編百合物語が連載開始。

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)1話扉絵

「メジロバナの咲く」は中村明日美子による漫画作品。

楽園 Le Paradis 25号(2017年10月)で連載を開始した。

Kindle版は11月30日より配信。

作者初の長編百合作品とのことである。

海外の寄宿舎を舞台に少女たちの邂逅と交流を描くガールズラブ長編 

居残り組の二人

クリスマスが近づいたある日、ルビー・カノッサは両親からの手紙を受け取った。

今度の休暇は父と母の二人きりで旅行をすること、今後のことについて深く話し合う必要があること。

ルビーによると、もう長いこと仲の悪かった二人の夫婦関係は、彼女がつなぎとめていたようなものらしい。

そして、彼女の寄宿舎への居残りが決定した。

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)1話より、ルビーとステフの出会い
(「メジロバナの咲く」1話より)

もう一人の居残り組は、彼女より一つ上の3年生、ステフである。

「鋼のステフ」とのあだ名で呼ばれるクールな編入生。

 

1話では、彼女らがこの寄宿舎で二人きりの休暇を過ごす様子を描いている。

つい最近まで面識がなかったのであるが、出会い方も含めてルビーはステフに気まずさを感じていたようだ。

食事の時以外なるべく顔を合わせないようにしている姿が見られる。

一方でステフは普段から単独行動なので気に留める様子はない。

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)1話より、ステフから隠れるルビー
(「メジロバナの咲く」1話より)

そんな二人の均衡が崩れるのは、クリスマスの当日のこと。

家族と一緒だった幼い頃の事を思い出すルビー。

彼女は両親をつなぎとめているとは言うものの、実際にはその重要な決定の場に居合わせることができなかった。

ただその結果を受け止めるしかない現実と我が身の無力さに涙する。

そんな時、ステフの思いがけない気遣いに触れ、心を開いていくのだった。

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)1話より、ステフを呼び止めるルビー
(「メジロバナの咲く」1話より)

ステフは過去に絶望的な無力感を味わった過去を持っていた。

彼女の強さはそこから来ている。

その言葉はルビーの世界を広げてくれるかもしれない。

「メジロバナの咲く」(中村明日美子)1話より、ルビーとステフの打ち解ける瞬間
(「メジロバナの咲く」1話より)

公式の作品紹介が長編ということだが、オムニバスとしても成り立ちそうな終わり方だった。

ここからどう持っていくのかな。

ステフに関する噂に、「校長先生の古い友人の…なんとかで」、というのがあるが、その辺をぼかされると妙に気になってくるのだが。

タイトルにあるメジロバナは何を指すのだろうか。

メジロは春を呼ぶ鳥とも言われ、梅や椿の蜜を好むらしいけどそのあたり?

花言葉は高潔、誇り。

短編百合としては、「曲がり角のボクら」に収録されている「さくらふぶきに咲く背中」がおすすめ。

 

単行本1巻は2019年9月30日発売予定とのこと。

関連記事