午前3時の太陽

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「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)海を目指す少女と海異の不思議の物語

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)

「乙姫ダイバー」は袁藤沖人(えんどう おきと)による漫画作品。

2017年12月、web漫画サイト・COMIC MeDuの開始と同時に連載を開始した。 

もともとは成人誌の中の一般向け作品として発表されてもいて、各電子書籍ストアで単話配信されている。

人が人魚に憧れたのなら…
陸の大半が海に没した大瀑震から16年、緩やかに衰退していく文明の中でも少女たちの声は高らかに響く!  この物語は“海異”の不思議に挑む、少女達の成長と学園部活動の物語である。

(「乙姫ダイバー 1 (MeDu COMICS)」より)

注目の新入生

世界的な災害で大半が海に沈んでから16年、竜宮湊(たつみや みなと)は高校入学の日を迎えた。

海と共に生きる術を学ぶ事は彼女たちにとって不可欠なこと。

江ノ島女子海洋学校で、潜水士としての日々が始まろうとしている。

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)より、満潮時は道路にも海水が
(「乙姫ダイバー」より)

通学途中の残された陸地も、潮の状態では水没してしまう。

こんな時のために常にビーチ・サンダルを持ち歩いているらしい。

衰退しつつあるとは言え、まだまだ逞しく生活を続けているようだ。


湊はこの地域の出身ではないのか、事情に疎い様子も見られる。

序盤では、そんな彼女と一人の優等生との出会いがハイライト。

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)より、主席新入生・奥入瀬汐
(「乙姫ダイバー」より)

学年主席で入学した奥入瀬汐(おいらせ うしお)。

競泳ジュニアオリンピック金メダリストで容姿端麗だが、性格にやや難ありかも知れない。

二人は未来のライバルか、それともバディになるのか 。

最初の試練

彼女たちの通うことになる「江ノ女」は、海洋学校というだけあって専門的な学科が揃っている。

本作でメインとなりそうな潜水士科を始め、航海士科・衛生士科・通信士科・主計士科・機関士科と本格的な授業が行われるようだ。

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)より、先輩より後に登校する者は全員遅刻
(「乙姫ダイバー」より)

先輩から新入生への洗礼も手荒いものであった。

この刀が使用される時は来るのだろうか。

それとも単に先輩の趣味だろうか。

紹介文に海異の不思議とあるのだけど、ファンタジー要素が入ってきそうな描写も見られるし、冒頭の幽霊船の噂の件も何かが起こるのかもしれない。

 

先輩命令で橋は渡れない、遅刻は許されない、ならば残された道は一つ。 

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)より、学校まで泳いで渡ればいい
(「乙姫ダイバー」より)

そうは言ってもなかなか踏み切れるものでもないのだが、二人に躊躇はなかった。

最初の勝負に勝つのはどちらかな?

 

待ち受ける他の先輩たちも一筋縄ではいかなそうであるし、刺激的な学校生活になりそうな予感がする。

更新ペースはかなりゆっくりになので気長に追ってみようと思う。

このままいくと1巻が出るのは2年後くらいになりそうではあるが。

「乙姫ダイバー」(袁藤沖人)より、見守る先輩たち
(「乙姫ダイバー」より)

双眼鏡で見物している先輩も生徒会長っぽいなと思ってたけどはずれだった。

 

ちなみに、大瀑震とは見なれない単語なので検索してみると、鹿児島の桜島の件で埋まっている。

桜島は今でも年間数百回の噴火を繰り返しているが、大正時代には大隅半島と陸続きになるレベルの大噴火があった。

あの辺は海底にもっとやばいのが眠っているし、世界には文明が滅ぶレベルのものがいくつかあるらしい。

 

作者は同人サークル「70年式悠久機関」でも活動しているので絵柄が気になったら覗いてみるといいと思う。

リンドガルス博物誌 | 【袁藤沖人の仕事と雑記ブログ】

あとがき

もともとの掲載誌の関係でAmazonではアダルト表示になっているのが、読者層を狭めていそうでもったいない。

web連載で認知度が上がればいいね。

 

*単行本では一般枠になった。発売日は2018年10月31日。

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