「天国大魔境」は石黒正数による漫画作品。
月刊アフタヌーンで2018年3月号(1/25)より連載を開始した。
美しい壁に囲まれた世界で暮らす子供たち。少年・トキオはある日、「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取り——? ほころび始めた天国で、少年少女の大冒険が始まる! 超才・石黒正数の最新作! 極大スケールでスタート!!
(「天国大魔境(1) (アフタヌーンコミックス)」より)
初回は一挙2話掲載で、それぞれ別の世界に生きる二組の男女?が描かれる。
一つは外界と遮断された子供だらけの平和な楽園(天国?) 、もう一つは地獄と称される荒廃した外の世界。
トキオとミミヒメ
壁の中では、子供たちが暮らしている。
天井や壁の位置からして、さほど広くはない空間に作られたこの箱庭での集団生活を、彼らが疑問に思う様子はない。
大人の代わりに先生と呼ぶロボットの授業を受け、テストに苦労する様子はごく普通の少年少女たちの姿。
「外の外に行きたいですか?」
と謎の質問が紛れ込んでいても、それが何を意味するのか分からないらしい。
一部の生徒を除いては。
ミミヒメは勘の鋭い子供で、予知に近い能力がある。
ここに暮らす者たちはそれぞれ一つずつは特技を持っているような節もある。
もともとそういった才能を持つ子たちが集められたのか、それとも能力開発のようなことをしているのか。
ともあれ、ミミヒメの言葉でトキオは外の世界に興味を持ち出すことになるのである。
だがそれを園長先生に直接尋ねたのはよかったのかどうか。
マルとおねーちゃん
壁に囲まれていない世界では、廃墟になった町が広がっていた。
何らかの災害が起きて多くの人々が死に、人類は滅びつつあるのかもしれない。
マルとおねーちゃんの二人は、民家に残された物資を調達しながら何処かを目指して旅を続けている。
ミミヒメの言っていた、外から助けに来てくれる二人だろうか。
一人はトキオに似ているとも言えるし、もう一人はミミヒメに似ていると言えなくもない。
作者の言葉によると、本作では最高の姉を描きたいとのこと。
二人は行方不明の弟たちを探している、とか?
マルとおねーちゃんが姉弟(姉妹?)の線も無くはないが、それにはちょっと不自然な点もある。
知り合いのおねーちゃんくらいの方がしっくりくるかな。
そもそも、大人以外の登場人物で性別が判明しているのがおねーちゃんとトキオくらいなのだ。
謎だらけだ。
強盗に囲まれた際のマルのセリフ「俺は男だ」に、おねーちゃんがびっくりした顔をしていた描写もあったしね。
その手があったかという反応なのか、それとも性別を偽ったことへの驚きなのか。
次回以降で少しずつ分かってくるだろうけど、続きが気になるな。
性別に関して言えば、施設の子供たちの一人称がみんな僕であったり、服装で判別できないようになっていたりするのも伏線なのかな。
冒頭の柱部分の煽りで「全てのページを読み解きたい! この世界で『謎』が待っている。」とハードルを上げてきているので大いに期待したい。
なお、過去作「外天楼 (講談社コミックス)」が大重版予定とのこと。
1巻の予約が開始された。発売日は2018年7月23日。