「人形の国」は弐瓶勉(にへい つとむ)による漫画作品。
2017年2月より月刊少年シリウスで連載を開始した。
巨大な人工天体アポシムズで、地底世界への侵攻を目論む帝国との争いに巻き込まれた青年と謎の少女の旅が始まった。
『BLAME!』『シドニアの騎士』の弐瓶勉が描くダーク・アドベンチャー・ファンタジー! 生存と復讐のため、強大な戦闘力を持つ”正規人形”と化した青年エスローと、地底から来た奇妙な自動機械タイターニアの果てしなき旅は続く。とある街を訪れた二人を待ち受けるものとは・・・・・・!?
(「人形の国(2) (シリウスコミックス)」より)
前回はこちら。
エスローとタイターニアの旅
住んでいた「白菱の梁」を出たエスローとタイターニアは、旅を続けている。
リベドア帝国に、そして故郷を滅ぼしたイーユに復讐をするため。
ただし現在では彼らにその力はないため、当面は他の正規人形を倒してそのエナを回収していく必要があった。
それは、鎧化して戦うために使用するヘイグス粒子の容量を増やすことにつながる。
まず彼らが向かったのは北合成スラブ地方と呼ばれている土地。
イーユによって制圧された地方で、彼の部下の正規人形が何人もいる所のようだ。
人の多い場所で目立たぬよう、タイターニアも見た目を変えてきた。
もこもこの毛玉バージョンである。
本来の自動機械の姿に毛を生やしただけなので、長時間の維持が可能らしい。
もっとも、どれが本来の姿なのかは疑問の余地がある。
以前の読み切り版では、小さな自動機械の姿の理由を聞かれた際に、制限付きで外に出ることを許されていると答えていた。
どんな姿でもかわいさを失わないのは彼女のすごい所だが、やはり人型の時が一番なのは言うまでもない。
今回は戦闘時にもここ一番の場面で活躍する姿が見られる。
この帯状の素材は彼女の服でもあり、攻守にも使える優れもの。
限られた容量のそれを放出するということは…
第二のヒロイン登場
帝国の正規人形を倒していくにあたって、エスローに新たな相棒もできた。
1巻の最後で、エスローたちの後ろ姿を眺めていたのと同じ人物かもしれない。
双子の正規人形の卑怯な手口に憤りエスロー側で参戦してくれる。
あらかわいい。
ただしこの表情はエスローに向けられたものではなかった。
彼女の名前はケーシャ。
リベドア帝国に滅ぼされたと噂のあった王国イルフ・ニクの出身らしい。
地底信仰の民で、そこからの使者であるタイターニアを神聖視している。
逆にエスローに対しては態度が厳しい。
この祖国への言及に過剰とも言える反応や、食事の際のやり取りから、どうやら平民ではなさそうな雰囲気。
王族なり貴族なりの高い身分にありそうだ。
そんな彼女が正規人形になるのは相当な覚悟と逼迫した状況があったのだろう。
タイターニアとの同行を希望するにあたり、「用意が整った」と発言していることから、イルフ・ニク王国内でも戦力が蓄えられているのかも。
ここで気になることがある。
エスローやケーシャが正規人形に転換した際のアイテム「コード」、これは使用後も意味のあるものらしいこと。
そしてその理由は秘密であること。
エスローの転換の際のイーユのセリフに「コードを無駄にしやがって」があるために、コードは使い捨てのものだと思っていたのだが。
ケーシャとのコンビで帝国の正規人形を倒していくエスローの前に、再びイーユが立ちふさがる。
復讐の念に燃える彼らに提示されたのは残酷な現実であった。
イーユは初登場時には皇帝の次に強い正規人形だと称していた上級転生者。
エスローたちの苦戦は免れない。
あとがき
1巻の単行本発売のタイミングが早かったこともあって、2巻までがずいぶん長く感じた。
作中でも重要なアイテム、「コード」のレプリカ付きの限定版もあるが、人気で品薄なので欲しい人はお早めに。
「とんがり帽子のアトリエ」3巻、「不滅のあなたへ」6巻も買う予定の人向けには合同プレゼント企画「とんがり帽子の不滅の人形」もやっているらしい。(紙版のみ)
*第3巻も限定版が選べるようだ。
▶1/1スケール タイターニア自動機械形態 組み立てキット付き 人形の国(3)限定版 (講談社キャラクターズA)