「魔王城でおやすみ」は熊之股鍵次(くまのまた かぎじ)による漫画作品。
週刊少年サンデーで2016年より連載を開始した。
魔王城での二度目のクリスマス、囚われの姫の願いとは…?
サンタさんへ。実家に帰りたいです…
かつて、人と魔物が争う時代… 人質として好き放題やっていたスヤリス姫が、遂にホームシック…!? 人質を人間界に帰すわけにいかない魔王は言う。「ちょっとだけだからな…?」魔王様御一行、いざ王宮(敵の本拠地)へ…!! 人間に見つかってはいけない極限の状況で、スヤリス姫のとった行動は…? 魔物はチョコに振り回されて、姫はこたつで丸くなる…? ほっこりあったか~い、第七巻!
前回はこちら。
姫の里帰り
人間の国のスヤリス姫が攫われてから、二度目の冬がやって来た。
前年は怠惰の魔具コ・ターツを手に入れ、部屋の窓を新調し、毛糸のパンツも自作した。
もう寒さに悩まされることもないし、快適な安眠ライフを送っている。
そんな姫がクリスマスに願うことは何だろうか。
サンタさんへの手紙の内容が、まさかの「実家に帰りたいです」であったことから、魔王城では緊急会議が行われた。
ここで下手に反対すると、再び本気の脱走を企てかねない。
そして何より、あくましゅうどうしが姫の部屋に行きたそうだ。
今回は、姫の愛用していた毛糸のパンツを回収するため、実家の部屋へと侵入する危険なミッションである。
厳重な警護の目を掻い潜って、無事に帰ることが出来るのか。
と言いたいところだが、姫の寝室でさっそく見つかってしまう。
一番バレてはいけない人に。
彼女は人類統一国家の女王、オーロラ・音無・リース・カイミーン。
さすがの影武者も親の目はごまかせない。
サキュバスのさっきゅん、初仕事でいきなりのピンチである。
姫のアドバイス、「必要なら気軽に死ねるのが一流だからね。」を実践する機会がやってくるのか。
スヤリス姫が攫われて一年余り、彼女の帰りを待ちわびたであろう女王が取った行動は意外なもの。
おそらく全てはお見通しなのだろうが、結果として魔界と人間界の未来を変えてしまうかもしれない。
そして、この日の姫のスピーチは、自らの立場と役割を認識し、魔族と人間の関係を導くことを宣言するものであった。
魔王城での生活を通して、世間知らずでわがままな姫から両国を代表する存在へと、大きく成長したことを内外に示すことになる。
スヤリス姫、魔王になる
このまま両国の関係が一気に進展するのかと言えば、そうでもない。
そこはさすがに姫であった。
今の彼女の帰る場所は、魔王城である。
人々を混乱させた責任として、一度元の状況に戻すことを選択する。
2巻で宣言した次期魔王になるとの言葉も回収しつつ、帰路に着く。
ただ前回と違うのは、女王公認となったこと。
この反応、さすが姫の母親である。
女王がこんな性格だったらこの先の友好化も早そうだなという気はする。
これで姫も行き来しやすくなるのかもね。
そうなってくると勇者の立場はどうなるのか。
アなんとか君には不憫な未来しか見えないけど、打たれ強いから大丈夫かな。