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「人形の国」4巻(弐瓶勉)禁断の地・恒差廟、三つ巴の攻防の果てに

「人形の国」は弐瓶勉(にへい つとむ)による漫画作品。

2017年2月より月刊少年シリウスで連載を開始した。

自ら正規人形になれないことを知ったイルフ・ニクの国王カジワンは、タイターニアの腕を奪い逃走する。

向かった先は禁断の地と呼ばれる恒差廟(ごうさびょう)か?

表紙は帝国の上級転生者ジェイトとトオスのコンビ。 

タイターニアの腕を奪い、逃亡したカジワンを追うエスロー達。だがその背後にはリベドア皇帝の命を受けた上級転生者ジェイトが迫る。禁断の地「恒差廟」で、北合成スラブ地方全ての運命を左右する戦いが始まる……! 『BLAME!』『シドニアの騎士』の弐瓶勉が描くダーク・アドベンチャー・ファンタジー第4巻!

(「人形の国(4) (シリウスコミックス)」より)

 

前回はこちら。 

禁断の地へ

暴走するカジワンを追うエスローたち一行は、機械株のもとを訪れていた。

広範囲に配線を延ばし自立した脳を持つシステムは、周辺で起こった出来事を把握するのに都合がいい。

そしてこれらのアクセス権を持つことがタイターニアの腕が奪われた理由でもある。

「人形の国」(弐瓶勉)4巻より、カジワンにタイターニアの腕が癒着
(「人形の国」4巻より) 

放っておいてもまた生えてくるらしく、タイターニア自身にはあまり不便はないようだが、独立しても機能する腕を危険思想の持ち主の元に置いておくのは、どんな悪用をされるかわかったものではない。

実際に、カジワンの体には著しい変化が見られる。

自力では動けなかった彼が、タイターニアの腕の癒着によって人間離れした動きを見せはじめていた。

カジワンが向かう恒差廟には何があるのか、それはイルフ・ニクの王にだけ伝えられる秘密で、タイターニアすら知らない禁断の場所とされる。

首都を奪われ、里も滅ぼされた今となっては、彼の頭にあるのはリベドア帝国への復讐のみであるようだ。 

三つ巴の攻防

「人形の国」(弐瓶勉)4巻より、ウメが恒差廟に落下をはじめる
(「人形の国」4巻より) 

北合成スラブ地方の上空に浮かぶ「ウメ」はこの地域の天候調整機能を担っている。

地上に残された人々がまだ何とか暮らしていけるのもこの装置のおかげなのだが、カジワンはこれを帝国への攻撃手段として利用しようと考えていた。

今回はこの「ウメ」を巡って帝国・カジワン・エスローたちの3つの勢力が集結する。

カジワンは「ウメ」を帝国の首都に落とすために、エスローたちはそれを止めるために、帝国はこの機に乗じてAMBを奪うために。

成功しても失敗しても北合成スラブ地方は滅びそうだけれどね。

現在でも「ウメ」一つで賄いきれてはおらず、屋外では厳重な装備を必要としている状態。

これを失えば、エスローが暮していた白菱の梁のような環境におかれるのだろうか。

帝国の侵攻で土地を追われたイルフ・ニクの王が自らの手でとどめを刺そうとしているのは皮肉なものだ。

「人形の国」(弐瓶勉)4巻より、リベドア皇帝の能力は未来予知?
(「人形の国」4巻より) 

「ウメ」で帝都を狙えると考えているあたり、リベドア帝国の領土もそこまで大きくはないのかもしれない。

誤算があるとすれば、現在の帝国の首都は移動要塞であることか。

帝国の兵士たちのセリフから推測すると、おそらく首都は一度壊滅しているのだろう。

ただ、それだけの大きな出来事が知られていないのも考えにくいので、普段は定位置に留まっているのか、あるいは現行の首都も旧帝都から飛び立ったものである可能性もある。

「人形の国」(弐瓶勉)4巻より、カジワンの体から何かが出た
(「人形の国」4巻より) 

帝国の力も決して絶対的ではなく、これまで危機を脱してきたのが皇帝スオウニチコの能力によるものだとしたら…?

そこにカジワンが新たな第三勢力となるのか、というところ。

新しく生まれた自動機械の動向も気になる。

彼女に自我はあるのだろうか。

もしカジワンの意思を反映することに終止するなら危険な存在となりそうだが。

「人形の国」(弐瓶勉)4巻より、エスローの回復には長い時間が必要
(「人形の国」4巻より) 

次の5巻は、時代が進んでいるのではないかと思われる。

タイターニアの「とても長い時間」とはどのくらいのものなのか。

以前エスローがイーユとの戦いでヘイグス粒子を使い切った際には、目覚めるまで90日の期間を要していたが、今回はその比ではないだろう。

世紀を超えるまではいかないとは思うのだけど…

壮大な話になってきた。 

 

4巻は限定版はなしとのこと。

続きの25話は発売中の月刊少年シリウス 2019年5月号に掲載。 

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