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「さよなら私のクラマー」40話(新川直司)特別な選手と興蓮館の底力

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、キャプテンマークの似合うフットボーラーだ

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

 

前回はこちら。 

天才を追う者:来栖編

インターリーグ決勝戦も終盤に差し掛かったところで、興蓮館高校は攻撃の層を厚くしてきた。

リードしている側としては守りきればいいわけで、その方が確実であっただろうが、彼女たちのプライドがそれを許さないようだ。 

インターハイを制した日本一のチームとして、また個の力に頼った蕨青南のようなチームには格の違いを見せつける必要がある。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、子供時代の来栖未加と梶みずき
(「さよなら私のクラマー」40話より)

キャプテンでエースの来栖未加は、子供の頃からひとりの選手を追ってきた。

同世代の中でも一際輝きを放つ天才・梶みずき。

久乃木学園や世代別代表でも活躍する彼女を知らないものは、同じサッカー選手ならばそうはいないはず。

先日のインターハイで前年の梶に続いて大会得点王になった来栖は、理想とは違ったものの一つの目標を達成したと言えるだろう。

それなのに、今回の試合前の観客席で会った梶の関心が自分には全く向いていないことを思い知らされたのであった。

そう考えると、あの来栖の表情もわからなくもない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、チームに不可欠な選手こそ特別な選手
(「さよなら私のクラマー」40話より)

一方的なライバル意識、それでも追える立場にあるくらいには結果を出していたんじゃないだろうか。

それは彼女が努力を惜しまないタイプであり、ボロぞうきんみたいとか泥くさい女とか言われるほど試合の度に全力を出し切る選手であることに理由がある。

そんな彼女にとって、興蓮館での高萩監督や藤江との出会いは幸運だったに違いない。

彼女自身は羅刹と表現していたが。

凡人でも勝てるチーム、才能に左右されないシステム作りを掲げた監督のもと、超えられないと思っていた壁を超えるための力を手に入れた。

個人ではできないことでも、チームでならできることがある。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)40話より、監督と藤江の方を振り返る来栖
(「さよなら私のクラマー」40話より)

以前の回想シーンで藤江は彼女のことを凡百の天才と表現していたが、それは最大の賛辞だったのかもしれない。 

日本一のチームを率いるエースとして、誰もが認める姿がそこにある。

これは蕨青南にとっては厳しいか。

 

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