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「よふかしのうた」2巻(コトヤマ)吸血鬼と恋をするということ

「よふかしのうた」(コトヤマ)2巻(週刊少年サンデーコミックス)

「よふかしのうた」はコトヤマによる漫画作品。

週刊少年サンデーで2019年8月より連載を開始した。 

夜に眠れなくなった少年が出会ったのは吸血鬼の女の子で… 

街は眠った。魅惑の夜へようこそ! 前夜、ナズナからの突然のキスになんだかいつもと違う意識をしてしまうコウ… さらにコウを学校へ誘うアキラも夜ふかしに参加!? コウたちの青い夜はさらに深く、楽しく更けてゆく。さぁ、全てをぶん投げて楽しい夜ふかしを始めよう! 全国の夜ふかしの同志たちから大反響! ふたり たのし よふかし青春ラブストーリー、第2巻!

(「よふかしのうた(2) (少年サンデーコミックス)」より)

 

前回はこちら。

幼なじみのアキラも参加

不登校の少年・夜守コウと吸血鬼の七草ナズナの二人で始まった夜ふかしに、あらたなメンバーが登場。

コウと同じ団地に住む幼なじみの少女・朝井アキラである。

彼女は朝が異様に早い。

眠りが浅いため、夜明け前の散歩を日課にしているのだという。

学校にも家にも窮屈さを感じていて、コウと同類であると言えなくもないが、理性の強さで何とか保っている感じだろうか。

「よふかしのうた」(コトヤマ)2巻より、嫌なのはキスの方です
(「よふかしのうた」2巻より)

コウの記憶の中のアキラはもっとよく笑う女の子で、今とはちょっと雰囲気が違うようだ。

彼女もまた一緒に過ごすことで癒やされていくのだろう。

コウが復帰する時には受け皿側のよき理解者になってくれそうである。

むしろ恋愛対象としてどうなのかと思っているのだが、今のところコウに好きな相手ができたら応援するつもりでいるらしい。

特別な存在には感じているようなので自覚の問題か、あるいは貴重な友人枠になるのか。

この子はこの子でまだ恋がよく分かっていないのかもしれない。

「よふかしのうた」(コトヤマ)2巻より、川の字で寝るナズナたち
(「よふかしのうた」2巻より)

三人で寝るには狭いスペースなのだけど、手が当たるのを気にしているあたりの初々しさがいい。

彼女の存在で夜と朝の接点ができ、一日の終わりをすっきり締められるようになるのかな。

名前からして重要なキャラだろうし、今後出番も増えてほしい。

 

ナズナの吸血鬼としての活動にはひとつ気になることがあった。

普段どうやって生活を賄っているのかという点なのだが、実は彼女、添い寝屋さんだったらしい。

「よふかしのうた」(コトヤマ)2巻より、窓から投げられるOL
(「よふかしのうた」2巻より)

夜をさまよい疲れた人々を癒やし、あわよくば血を吸わせてもらおうというのが生業なのだという。

彼女の性には合ってそうだ。

怪しげな雑居ビルというか廃墟にしか見えない建物なので外に出て直接声をかけているのだろう。

コウに出会った日もその途中だったのかもしれない。

出版社に務める白河清澄もナズナの常連客の一人で、会社での人間関係に消耗する日々を送っていた。

「よふかしのうた」(コトヤマ)2巻より、俺があなたを吸血鬼にしてあげる
(「よふかしのうた」2巻より)

コウとの出会いで転機を迎えそうだが…

彼女の登場で、本作が夜の世界における救済を群像劇的に描こうとしているのだろうかとも思われた。

実際にはそういう部分もあるかもしれないが、3巻からは新章突入で大きく展開が変わりそうだ。

登場人物も一気に増えて、吸血鬼設定が重要な意味を成してきた。 

 

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