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「さよなら私のクラマー」48話(新川直司)思いは次の世代へ

「さよなら私のクラマー」(新川直司)48話より、能見奈緒子のヒーローインタビュー

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

ワラビーズのさらなる成長の鍵を握るのは?

 

前回はこちら。

バトンを受け取った者たち

興蓮館高校との熱戦から一夜明け、蕨青南女子サッカー部は完全休養日である。

無人のグラウンドを見つめるのはキャプテンの田勢。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)48話より、練習グラウンドを見つめる田勢キャプテン
(「さよなら私のクラマー」48話より) 

1点を追うアディショナルタイムに得たPKのチャンスで、自ら蹴ると言い出せなかったことを彼女は後悔していた。

選手たちはみな限界に近かったあの時、キャプテンの立場として手を挙げるべきではなかったのかと。

勝敗の分かれ目となる重圧がかかる場面で、気持ちが逃げてしまっていたこと。

これから先に進めば楽に勝てる試合などないだろうが、結果が出る前に怯むようでは覚束ないのだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)48話より、普段から積極的に指導していたら
(「さよなら私のクラマー」48話より) 

確かにこの大会で全国の強豪校とも戦えるポテンシャルを示したものの、そこで満足して欲しくはない。

むしろ彼女たちに感じる可能性はもっと大きなものなのである。

試合後の能見コーチの言葉はちょっと意外だったかな。

それは深津監督が選手たちと本気で向き合えていない事を指摘するものだった。

県予選以降の守備陣の成長は著しいし、試合での指示も的確で結果に繋がっている。

じゃあなぜもっと早くやろうとしなかったのかと。

事実、今の3年生たちは不満を感じて去ってしまっている。

ほんの少し前までの彼は、本当にやる気のない監督だったのだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)48話より、次の世代にバトンは渡った
(「さよなら私のクラマー」48話より) 

プロの舞台ではないし、そこを目指すチームでもない。

高校女子サッカーの無名の弱小校では評価に繋がらないかもしれない。

でも指導者としてそんなに魅力を感じない世界なのかと。

1話の冒頭はインタビューのシーンから始まるが、今回のエピソードでその言葉が提示された。

本作は彼女のメッセージを受け取った者たちのその後を描く物語でもあるようだ。

そして深津監督もその内の一人なのだろう。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)48話より、チーム強化へやる気を見せる深津監督
(「さよなら私のクラマー」48話より) 

グラウンドに登場した深津監督が着替えている姿を見せるのは初めてのこと。

彼なりに選手たちと向き合う覚悟を決めたのだろう。

これからもっと強くなりそうだね。

 

単行本13巻は2020年10月16日発売。

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