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「【推しの子】」17話(赤坂アカ、横槍メンゴ)アクアは迷作の救世主となれるか!?

「【推しの子】」(赤坂アカ、横槍メンゴ)17話より、有馬かなが本気を出せる環境に

「【推しの子】」は赤坂アカ(原作)、横槍メンゴ(作画)による漫画作品。

週刊ヤングジャンプで2020年4月より連載を開始した。

17話は、ドラマ『今日あま』の最終回でやってきた、作中屈指の名シーン。

 

前回はこちら。

最終回の最大の見せ場にアクア登場

かつて天才子役として世間に知られていた有馬かなも、やがて長い不遇の時代を経験し、今回のドラマは久しぶりの主役級の仕事である。

演技経験のない若手モデルたちが中心の現場で、彼らのまとめ役のような立場も担っているようだ。

「【推しの子】」(赤坂アカ、横槍メンゴ)17話より、有馬かなの世間の評判
(「【推しの子】」17話より)

以前のようなメディアへの露出は減っていたものの、地道に稽古を重ねてきた彼女は確かな実力を身に付けている。 

それでも今回の共演者たちのフォローにはだいぶ苦労しているらしい。

企画の目的の時点でクオリティは期待されていないこともあり、彼らの演技への意識はかなり低く、いい作品にはなりようがない。

そんな中で、せめて観れるものにしたいと奮闘しているのが現在の状況であった。

アクアを半ば強引に参加させたのもその思いの強さからだったようで…

「【推しの子】」(赤坂アカ、横槍メンゴ)17話より、有馬かなでもフォローしきれない?
(「【推しの子】」17話より)

役者はコミュ力が大事との話も出ていたが、演出の意図を汲んだり共演者との呼吸を合わせる柔軟性が必要で、彼女の力が活かせるのがこの部分。

演技が下手なモデルたちが悪目立ちしないようにフォローしつつ、いい感じにまとめたい。

でもさすがに限界というものがある。

重曹ちゃんが抑えめの演技で合わせていても隠し切れないほどのひどさ。

このままでは共倒れにもなりかねない。

今回の重曹ちゃんの仕事は業界関係者には評価されたとしても、原作ファンからすれば作品を貶めた出演者の一人として、批判の対象となるかもしれない。

下世話なまとめサイトに【悲報】記事の格好のネタとして面白おかしく書かれることだろう。

しばらく表舞台から遠ざかっていただけに、その印象が強く残ってしまう可能性すらあった。

「【推しの子】」(赤坂アカ、横槍メンゴ)17話より、アクアの演技で空気が変わる
(「【推しの子】」17話より)

そこに現れたアクアが救世主となれるのか、というのが今回のハイライト。

重曹ちゃんのモノローグで、リハの印象はあまり上手くなかったことが明らかにされたが、五反田監督のもとで裏方の仕事に関わってきた経験が彼の力になっている。

個人技では戦えない分、カメラも照明も音響も味方につけて周囲を巻き込む演技が彼の持ち味となるのだろう。

現時点では無名なのでやや強引なやり方ではあったが、キャリアと共に化けるポテンシャルを秘めている。

加えて監督が見る目のある人でよかったなと。

元々、裏方は優秀との見立てがあってのチャレンジだったものの、アドリブを含め却下されても仕方のないところ。

監督としても、自分の権限の範囲で手を尽くした先に出たアクアの演技は、内心とてもうれしかったのではないだろうか。

「【推しの子】」(赤坂アカ、横槍メンゴ)17話より、重曹ちゃんこと有馬かなの恋に落ちた表情
(「【推しの子】」17話より)

実力を出し切る舞台を整えてもらった重曹ちゃんが見せる演技に期待が高まる。

起死回生の名シーンとなるか!?

 

単行本2巻は2020年10月16日に発売予定。

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