「MAO」は高橋留美子による漫画作品。
週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。
62話は、摩緒の幼なじみの大五のその後。
前回はこちら。
これは、同じ「呪い」を背負う摩緒と菜花の “全てを終わらせる” 物語――
中学三年の黄葉菜花(きば なのか)はある門を通り大正時代に漂着。同じ「猫鬼の呪い」の陰陽師・摩緒(まお)と出会う。彼は寿命を操る秘法を継ぐのに必要な生贄で、5人の兄弟子に命を狙われている。「人が土化する」事件は土門という医者の半端な陰陽術のせいと発覚した。矢先、摩緒を知る土の姉弟子・夏野と邂逅し…
(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)62話 ―大五の死―」より)
御降家を襲う異変
五色堂に呼ばれた土の術者は大五ではなく夏野だった。
実力はどちらも申し分ないものだったようだが、その決め手となったのは何だったのか。
当時、屋敷内で起こった事件の前に、摩緒は大五から気になる言葉を聞いていた。
それは前に真砂が警告してくれたのと同じものを指しているのだろう。
摩緒が後継者として選ばれた先に待ち受ける運命。
御降家のあり方に疑問を感じていたことが五色堂に呼ばれなかった理由だろうか。
それならば真砂と大五が外れているのも頷ける。
呪禁道の家がどこもそうなのかは分からないが、師匠の言動は常軌を逸したもので、皮肉にもそれが滅亡を早めることにもなった。
大五を始めとした有力な弟子たちの相次ぐ死は、五色堂での件を受けてのことだろうと摩緒は考えている。
木火土金水の各属性の実力者の内、候補になったと思われる人物が狙われた事件なのだと。
お互い誰が呼ばれたのかが分からないため、疑いのある者を先に始末しておきたいのは当然のこと。
であるならば最初に狙うのは各部門でNo.1と目されている術者になるはず。
五色堂に呼ばれたメンバーはこれを生き残ったわけである。
この部分の認識がずれているのかも。
宣告されたことで呪いを防ぐ手段を講じていたか、それとも予想外の顔触れだったか。
巻き込まれた弟子たちは災難だがその道を選んだ以上は仕方のないことだろう。
力のある当主を繋いでいくためのシステムが、逆に流派としての弱体化を招いている。
その矢先に猫鬼の騒動が起こったのは、実情を知る内部の者の仕業である可能性が高い。
強大な猫鬼の力を味方に付けようとして失敗したのか、あるいは御降家そのものを滅ぼそうとしたのか。
気になるのは紗那の最後の様子である。
心臓をつかみ出されて死んだと言われているが、まるで呪いの反動のようではないか。
あるいは悪魔との契約のような。
では肝心の心臓はどこへいったのか。
彼女は当時の事件の真相を知っているのかもしれない。
問題は幽羅子の中にどれだけ紗那の人格が存在しているかだが…
ここしばらく顔を見せていない華紋は不知火の行方を追っていたらしい。
拠点の神社が海の底に沈んでいるようだが何かの前兆だろうか。