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午前3時の太陽

映画と漫画と音楽と。

「ヒューゴの不思議な発明」失われた過去を取り戻す力

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スコセッシ監督映画「ヒューゴの不思議な発明」

「ヒューゴの不思議な発明」は2011年公開の映画。

マーティン・スコセッシ監督の映画への愛があふれる作品だ。 

あらすじ

1931年の冬、パリのモンパルナス駅の時計塔の中に一人の少年が暮らしていた。

ヒューゴは時計職人であった父を亡くし、駅の時計の管理をしていたおじに引き取られ、代わりに手入れをする日々。

そのかたわら、父との最後の思い出の品である機械人形を修理し、再び動く姿を見るのが夢でもあった。

酒浸りで仕事を押し付けたまま帰らないおじのため、ヒューゴはほとんど孤児のような生活を余儀なくされ、鉄道公安官の目を盗み食べ物や機械の部品を調達していた。

 

ある日のこと、おもちゃ屋での部品回収時に、店の主人に捕まってしまう。

老主人は盗んだ品を返すことを要求し、同時に持っていた父のノートも没収されてしまった。

頑なにノートを返そうとしない老人を追って家まで辿り着いたヒューゴは、そこに住む少女と出会う。

予告編動画

映画『ヒューゴの不思議な発明』予告編 - YouTube

夢と冒険の世界

まだ幼い子供たちにとって、わくわくするような夢と冒険の世界とは何であるか。

それは本の中と映画の中にある。

 

少女イザベルは、今では堂々と店に入ることのできないヒューゴを行きつけの本屋に連れて行く。

「地球上で一番素晴らしい所よ。ネバーランドとオズと宝島が同時に存在するの。」

なんと魅力的な表現か。

大人にも忘れかけていたものを思い出させてくれる魔法の言葉だ。

しかし、本を愛するイザベルも映画はまだ観たことがなかった。

養父母はなぜかイザベルが映画を観るのを固く禁じていた。

 

映画「ヒューゴの不思議な発明」より、ヒューゴとイザベル本屋に行く

 

ヒューゴの機転で映画館に忍び込む二人。

館内には、チャップリンなどのポスターが掲げられている。

奥からマックス・ランデー、チャールズ・チャップリン、チャーリー・チェイス。

1931年といえば、名作「街の灯」が公開された年だ。

実際に観たのはハロルド・ロイド*1の「要心無用*2」の一場面、後半のビルの壁登りのシーン。

一番有名な部分は作中でヒューゴ自身が再現することになる。

ジャケットの絵でバレバレだけれど。

 

ジャッキー・チェンが「プロジェクトA」で、クリストファー・ロイドが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で同様のシーンを演じている。

映画の歴史

二人が図書館で映画の歴史の本を読む場面がある。

ルネ・タバール著「夢の発明」。

1895年の年の瀬、リュミエール兄弟*3によって誕生した映画は今年(2015年)で120周年。

その最初の作品「工場の出口」を始めとする古い初期の名作の数々が短い映像とともに紹介される。

ここのシーンはスコセッシ監督が一番撮りたかったものかもしれない。

本作のテーマは「映画への愛」。

これらの映画が100年の時を超えて現代の3Dで撮影された作品で登場するのだ。

 

The First Film in the History - December 28 - 1895 - The Lumiere Brothers - YouTube

これは「工場の出口」。数十秒の短い映像で、三種類ある。

リュミエール兄弟が経営していた工場から仕事を終えて出てくる労働者たち。

映画の誕生だ。

 

またこの年、モンパルナス駅では大規模な列車事故が起きている。

ヒューゴの悪夢で登場した。

1895年モンパルナス駅列車事故

失ったものを取り戻す

この作品に登場する人々はみな、大切なものを失った過去を持つ。

それは家族であったり、からだの機能であったり、奥さんの愛情であったりする。

そして夢だ。

映画には夢を現実に変えるパワーがあると知っていたはずの老人も、戦争で全てを捨て、映画への情熱を失っていた。

 

ヒューゴの不思議な発明とは、人々の夢を思い出させる“世界一やさしい手品”であった。

時間という常に流れていくものを扱いながら、かつてあった姿を取り戻す力。

実際のところは原作にある不思議な発明の部分は本作では描かれないのだけれど。

 

ヒューゴの不思議な発明 インタビュー: マーティン・スコセッシ監督、ほとばしる映画愛で達した新境地 (2) - 映画.com

あとがき

12月に入ったこともあって、クリスマス映画っぽいものを観ようかと思って選んでみた。

雪の降る街がきれい。パリというよりはロンドンぽい。

家族で観てもいいやさしい作品。

「世界がひとつの大きな機械なら いらない部品なんてひとつもないんだ」

3Dの映像の評判がいいみたいなので、可能なら3Dで観るのがおすすめかな。

あとサシャ・バロン・コーエンが普通の役やってるのがうける。

  

 

原題:Hugo 

監督:マーティン・スコセッシ

原作:ブライアン・セルズニック「ユゴーの不思議な発明」

出演:エイサ・バターフィールド(ヒューゴ・カブレ)

   クロエ・グレース・モレッツ(イザベル)

   ジュード・ロウ(ヒューゴの父)

   ベン・キングズレー(ジョルジュ・メリエス*4

   サシャ・バロン・コーエン(鉄道公安官)

  

 

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