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「とんがり帽子のアトリエ」9巻(白浜鴎)銀夜祭は波乱の幕開け

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)9巻表紙(魔警団副団長・イースヒース)

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツーで2016年7月より連載を開始した。

9巻は、46話から51話まで。予てより言及されてきた銀夜祭がついに始まろうとしている。

 

前回はこちら。

渡り星が渡ったら、それは祭りの合図。 タータの手伝いで魔法使いのお祭り「銀夜祭」に参加することになったココたちは、それぞれ作った魔法器を手に、開催場所である島都エズレストへ向かう。 屋台が立ち並び、祭りの気配に浮足立つ街に、あらゆる人間が訪れ喧騒を増してゆく。 そんな祭りの期間、魔法が使えない王城で、貴族と魔法使いの会議が行われいてた。 祭りに集う魔法使いや貴族たち、そして招かれざる客人……それぞれの思惑を秘めながら、ついに「銀夜祭」が幕を開ける。 新章突入の9巻!

(「前回までのあらすじ:『とんがり帽子のアトリエ』9巻(モーニングコミックス)」より)

 この夏で連載開始から5周年。本誌では表紙&巻頭カラーで特別編を掲載、単行本ではシーリングセット付きの限定版が発売された。

祭りの舞台エズレストへ

島都エズレストの城下で開催される魔法使いのお祭り「銀夜祭」が近づいていた。

今回は魔材屋「星の剣」の天幕を手伝う代わりに自分たちのスペースも持てるため、日頃の成果を見せられる特別な課外授業となりそうだ。

まだ見習い期間ということもあるが、ココたちの暮らすゾザ半島は未だ謎に包まれている。

第二の試験に合格した彼女たちが実務研修を行うことで、各地の状況が描かれていくことを期待したい。

そもそも半島と言うくらいだからあまり大きな国ではないはずだ。

かつて魔法使いたちの掟が定められた結託の地ということもあって、聖地のような場所とも考えられるが、他の国々の様子や魔法の有り方なども分かっていない。 

そんな中、ゾザの為政者の存在が明らかになった。

「とんがり帽子のアトリエ」9巻より、ゾザ半島の五国王
(「とんがり帽子のアトリエ」9巻より)

各地方の領主たる五人の王と、彼らを統べる島王・ディンレルディ。

三賢者を始めとする魔法使いたちは、彼らと協力関係にある。

自然災害への派遣依頼に応ずる代わりに、魔法税として大講堂を維持する資金を調達しているらしい。

掟に従って人災による揉め事には手を出さないが、この点で不満に思っている王もいるようだ。

つばあり帽の付け入る隙はここにあるのかもしれない。

ただ実際に禁止魔法に手を出すのはリスクが大きすぎて決め手に欠ける。

もともと軍隊の領分であるのと、長年の取り決めで口を挟む余地はなさそうだが、駆け引きと牽制はしておきたい所だろうか。

反乱の意思があるとかでないのならば。

「とんがり帽子のアトリエ」9巻より、ゾザ半島を統べる島王ディンレルディ
(「とんがり帽子のアトリエ」9巻より)

その点、ディン陛下は大講堂の意向を尊重しつつ協力を引き出す交渉術に長けている様子。

ベルダルートをして食えない男と言わせているだけあって、一筋縄ではいかない人物のようだ。

そんな彼にも弱点があって…なフラグも。

表紙は魔警団のイースヒースだが、彼の活躍が目立つような状況になるのかどうか。

ココの記憶を消そうとした時のように禁止魔法が絡むと強引な部分もあるけれど、それ以外は冷静で団員からの人望も厚い頼れる副団長な印象。

今回のお祭りではつばあり帽の動きが懸念されるため、魔警団の面々が揃っているのは心強い。

城下の厳重な警備の中で、敵はどんな手を使ってくるだろう。

その切り札の一つが前巻から登場の新キャラ・イニニアになるはず。

初見では見抜けない分、厄介そうである。

「とんがり帽子のアトリエ」9巻より、タータの作ってくれたココ専用の杖
(「とんがり帽子のアトリエ」9巻より)

会場では、以前から約束していたココ専用の魔法の杖がタータからプレゼントされている。

仕立て屋の手伝いをしていた頃の手に馴染んだ道具と、今では描線にも慣れてきたペンの両方を融合したような形状で、ココのためだけに作られた一本。

魔法陣の精度が結果に直結するこの世界で、自分にぴったり合った道具に出会えるのは幸運なことだと思う。

使う者の成長や癖などに合わせてカスタマイズできる製品の開発は、理想の道具を見つけるための助けとなるだろう。

特にオーダーメイドを利用できない見習い中の子供たちにとって画期的なシステムなのでは?

収集家への需要も期待できるし、いいことづくめのようでタータのお手柄である。

「とんがり帽子のアトリエ」9巻より、闇落ちしたクスタス
(「とんがり帽子のアトリエ」9巻より)

先日カルンの町を旅立ったクスタスとは意外と早い再会となった。

闇堕ちを感じさせる表情も、必然の結果かなと。

むしろあちら側のほうが生き生きしそうな性格なので収まるところに収まったのだろう。

ココたちに危険が迫るのか?

 

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