はじめに
ここ数日、Twitterやブログで、「10冊の本で自分を表現する」という企画が流行っているようだ。
面白そうな事には首を突っ込みたくなるもので、自分でもやってみた。
10冊に絞るのはなかなか苦労したけれど、これまでの人生の中で影響を与えているであろう本を子供時代から10代の頃によく読んだものとして選んでみた。
書いていて思ったのは、あまり説明し過ぎないほうがいいんじゃないかということ。
もともとTwitterで始まったものなので、選んだ本からその人を想像する余地があった方がいいのかもしれない。
ここがはじまり。
はてな界隈だと、ぐるりみち。のけいろー (id:ornith)さんが最初なのかな?
1. 「西遊記」邱永漢
小学生の頃の愛読書。
著者の邱永漢は直木賞も取っている*1が、その後は小説を書くことはなくなっていたのが残念だった。
2. 「中原中也詩集」中原中也
思春期に読んだ中原中也。
言葉はリズムだ。
いろんな出版社から出ていて、それぞれ実際に交流のあった人達が解説をしている。未刊詩篇の中の「曇った秋」が好き。
3. 「 山頭火随筆集」種田山頭火
中原中也と同じく山口県の人、山頭火。
自由律俳句という、17音にとらわれない表現。
僧形で行乞をしながら句を詠んだが、その内容は実に人間臭い。
「何を求める風の中ゆく」 「雨ふるふるさとははだしであるく」などが好き。
4. 「文藝別冊 ビル・エヴァンス」
ピアノが好きだ。一番好きな楽器を挙げるならピアノだろうな。
学生時代ベース科だったので、勉強のためにジャズを聴きだしたのだが、そこでビル・エヴァンスにハマった。
よく、ビル・エヴァンスは何を聴いたらいいのかという内容で検索してくる人がいるが、これを読んだらいいと思う。
5. 「ちぎれ雲」幸田文
幸田文は40代の時、父露伴の晩年の様子を書いた文章が注目され作家としてデビューした。
本棚でたまたま手に取った本だったが、最初のページから引き込まれて集めることになった。
こんな文章が書きたい。
6. 「名人」川端康成
昭和初期、本因坊秀哉名人の引退碁の観戦記を小説化したものである。
登場人物の名前は変えてある。
健康面の不安から数度の中断を経て行われた対局は、勝負の世界に生きる凄みを感じさせる。
子供の頃、父の高校時代の恩師に囲碁を教わる機会があったが、結局身につかなかった。
現在は将棋が趣味だ。
7. 「禅と日本文化」鈴木大拙
鈴木大拙は海外に禅を紹介した人。
この本も元々は英語で書かれたもので、日本語にも訳され刊行された。
海外の禅に詳しくない人向けの内容だったが、今では日本人にとってもいい禅の入門書となっている。
8. 「思いっきり!イタリア遊学」岩貞るみこ
著者の約二年間に渡るイタリア留学の滞在記。
9. 「西郷南洲遺訓」山田済斎編
明治維新後、鹿児島に帰った西郷の所へ、元庄内藩主の酒井忠篤他、元藩士達が訪ねる。
酒井氏は後に西郷の教えを記録に残し、上野の銅像の発起人ともなった。
庄内藩は、江戸薩摩藩邸焼き討ちや戊辰戦争で薩摩藩とは対立していた藩である。
西郷の人柄と酒井氏の器の大きさから成った貴重な記録だ。
薩摩の魂。
ただね、岩波は活字が読みにくいんだよね。Kindle版希望。
「道は天地自然の物にして、人は之を行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、我を愛する心を以て人を愛する也。」
10. 「ビデオ・DVDで観たい名画200選」淀川長治・佐藤有一
淀川長治氏の亡くなる数ヶ月前に書かれた原稿を、佐藤有一氏が解説しながらまとめたもの。
リュミエール兄弟から続く映画の120年の歴史の中で、数え切れないほどの名画が生まれ、一生で観切れない量の作品が生まれた。
こういった古い名作を味わうのも映画の醍醐味だ。
最新作も観たいけど旧作も観たい。
現在、観たいものリスト800本。
時間が足りない。
あとがき
10冊って難しい。
でもこの10冊で、今に続く要素が含まれているんじゃないかな。
好きな本10冊でもなく、たくさん読んだ10冊でもなく、自分を表現する10冊。
こんなとこかな。
他にも書いている人がいたらお知らせください。読みに行きます。
それでは。
今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
*1:外国人としては初の受賞。 邱永漢 - Wikipedia