「鉄道少女漫画」は中村明日美子による漫画作品。
楽園 Le Paradisにて2010年から2017年まで連載された。
主に駅や電車内を舞台にした連作短編集である。
「浪漫避行にのっとって」、「彼の住むイリューダ」、「立体交差の駅」、「青と白のクリーム」、「木曜日のサバラン」、「夜を重ねる」、「ある休日」の7編。
特徴的なのは、小田急線沿線に集中していること。
これに関しては作者もあとがきに小田急愛を綴っている。
小田急が好きです。
ロマンスカーが好き、5000系が好き、
小田急の人は全員いい人だと思ってるくらい、
小田急が好きです。
(作者あとがきより)
浪漫避行にのっとって
1話目の主人公は、スリ常習犯の女子高生。
表紙の真ん中で振り返っている女の子だ。
ロマンスカーの座席で眠り込んだ男の財布をねらうが、あっさり見つかってしまう。
男は、妻と弟の浮気を疑い、尾行している途中だった。
見逃してもらう代わりに協力して行動を共にすることになるが。
この表情。
彼女の機転によって乗り換えの時間差を利用し、箱根で追いつくことに成功する。
作中では過去は描かれていないし、名前も出てこないが、もっと見てみたいキャラだった。
立体交差の駅
「立体交差の駅」 は野球部に所属する背の高い女の子が主人公。
駅で落し物を拾ったことから、年上の女性と知り合うことになる。
恋愛経験のない彼女と、失恋したばかりのその女性が互いに惹かれ合っていく。
百合ものではあるけど、ほのめかす程度に抑えてあるので読後感はさわやか。
「乗り換えませんか」
あとがき
本作の最後の「ある休日」では各話の登場人物たちのその後を垣間見ることができる。
あとは「木曜日のサバラン」の脇役で出てくる女の子を主人公にした続編「君曜日」も青春を感じられていい。
ただし、2年に1冊ペースなのでいろんな意味で悶えることになる。
*2017年夏、4冊目の「君曜日3 ─鉄道少女漫画4─」で完結した。