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「シカバネ★チェリー」初デートの日にゾンビになっちゃった(こなみ詔子)

漫画「シカバネ★チェリー」(こなみ詔子)1巻 (プリンセス・コミックス)

「シカバネ★チェリー」はこなみ詔子による漫画作品。

ひょんなことからゾンビになってしまった女の子・美雨の恋と友情と青春の日々。

超強力細胞活性化液「チェリースープ」を飲みほしてしまったせいで、ゾンビになってしまったオカルト大好き少女・美雨。ひょんなことから片想いの桃野くんと急接近するものの、彼は大のゾンビ嫌い! はたして…!?

(「シカバネ★チェリー 第1巻 | 秋田書店」より)

ホラー好きの女の子

久良木美雨(きゅうらぎ みう)はホラー好きの女の子。

体力はあまりないにも関わらず、夜遅くまで心霊スポットめぐりをするほどだ。

おかげでクラスメイトからは「午前中は静止画みたい」と言われている。

そんな彼女がなんとか学校生活を送れているのは、隣に住む幼なじみの三吉羽瑠(みよし はる)のおかげである。

羽瑠は実験大好きな化学オタクな男の子で、最近新しい薬を完成させた。

漫画「シカバネ★チェリー」(こなみ詔子)1巻より、超強力細胞活性化液チェリースープ
(「シカバネ★チェリー」1巻より)

超強力細胞活性化液、名付けて「チェリースープ」。

一滴飲むだけで、細胞が新鮮な状態を保ち、弱った状態が回復する画期的な代物だ。

その日、このチェリースープの効果で美雨は別人のように元気な一日を過ごすことになる。

同じクラスで気になるイケメン桃野(とうの) は校内の女子に人気で、学年一人気の女子、長谷川ですら相手にされない存在だったが、実は彼もホラー好き。

絶版になっていた幻のホラー雑誌を美雨が持っていたことから、彼の趣味仲間として認識され例外的に仲良くなることに成功する。

ゾンビになっちゃった

舞い上がる美雨だが、反動がないわけではない。

効果が切れたときは、いつもよりだるい時間がやってくる。

そしてここ数日はしゃぎすぎた彼女は、映画を観にいく日の朝、ついに熱でダウンしてしまう。

どうしてもデートに行きたい美雨は、羽瑠の止めるのも聞かずにチェリースープを飲み干してしまうのだった。

この時点で命が危ぶまれるが、死因はそこではなかった。

勢い余って部屋を飛び出した彼女は、途中で止まれずに電柱に頭をぶつけてしまう。 

漫画「シカバネ★チェリー」(こなみ詔子)1巻より、ゾンビとして復活
(「シカバネ★チェリー」1巻より)

チェリースープの効果は絶大だった。

彼女は死んだはずなのに回復し続けていた。

多少の切り傷や骨折などはまたたく間に治ってしまう。

意識もあるし日常生活も送れるが、一つ問題なのは、心臓が動いていないことだ。

漫画「シカバネ★チェリー」(こなみ詔子)1巻より、脈がないようだ
(「シカバネ★チェリー」1巻より)

桃野と二人きりでドキドキのシチュエーションのはずだったのに、ドキドキするはずのものがない。

彼女はゾンビになってしまったのか?

いくらホラー好きの桃野でも、友達がゾンビなのは受け入れないだろう。

むしろ彼は和ホラー好きでゾンビは嫌いなのだ。

秘密にする? 告白する?

 

本作は変わり種のラブコメでどちらかというとギャグ寄りだ。

あせると変顔するし、鼻フックとかされる。

ヒロインなのに。

チェリースープのせいか底抜けにポジティブなため悲壮感はないが、いつか効果の切れる時がやってくる。

ここの解決の仕方と長谷川、羽瑠を加えた四人の関係がどうなるのかが見所。

 

漫画「シカバネ★チェリー」(こなみ詔子)1巻より、学年で人気の女子、長谷川
(「シカバネ★チェリー」1巻より)

ちなみに長谷川は潔くて行動力のある女の子だった。

彼女たちも仲良くなりそうな感じだね。

あとがき

この作者の漫画を読むのは「コインロッカーのネジ。」以来なんだけど、そのギャップに驚いている。

TO-Y」(上條淳士)とか「眠兎」(浅田弘幸)と近いイメージを持っていたから。

絵柄に面影はないけど、これはこれで好きだな。

テンポが良くて一気に読んじゃった。

他の作品も追ってみることにする。

 

全3巻。

 

文庫版全3巻、Kindle版全5巻。

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