「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。
月刊モーニング・ツーで2016年7月より連載を開始した。
9話は、ココを魔警団に引き渡そうとするオルーギオの正体が判明する。
前回はこちら。
キーフリーとオルーギオ
外出先からアガットを呼びに戻ったココの前に現れた魔法使い・オルーギオ。
彼はココが禁止魔法の被害者だと聞き、彼女を魔警団に引き渡すため連れて行こうとするのだった。
全力で止めようとするキーフリーとの対立でアトリエに緊張感が広がっていく。
ココを初めて見た時の反応が訪問者に対してのものだったこと、アトリエ内の事について自分が知らないはずはないという態度に、重要な位置にいる人物であることがうかがわれる。
彼は何者なのか。
キーフリーの口からは親友という言葉が出ているが、その親友に魔法を向けてまで弟子を守ろうとする姿勢に責任と覚悟が見える。
オルーギオの正体は、このアトリエのもうひとりの住人で、「見張りの眼」と呼ばれる立場にあった。
中央から離れた土地で単独のアトリエを運営する場合、問題が起きた時にそれを隠匿することが無いように滞在する決まりになっているのだという。
また安全面での配慮でもあるだろう。
禁止魔法に関わった者、魔法の秘密を知ってしまった者は記憶を消去される。
キーフリーも最初はココの記憶を消すつもりであったが、この役割を担うのが魔警騎士団、通称「魔警団」である。
しばらく姿を現さなかったオルーギオは、 ココが特例として弟子になった経緯を知らないため、当然の反応をしたまでであった。
ちょっと強引ではあったけれども。
キーフリーとのやり取りを見ていると、むしろ苦労人なんじゃないかと思えてくる。
初めて好きになった魔法
第一印象が最悪ではあったが、オルーギオも悪い人物ではないし、遠くないうちに打ち解けるだろう。
アガットに似た匂いを感じる。
彼は普段は魔法器の制作で部屋にこもっていてなかなか顔を出さないようだ。
今までも留守ではなく仕事で引きこもっていただけなのかもしれない。
フデムシを追って彼の仕事部屋に迷い込んだココは、懐かしい物を発見する。
幼い頃に祭りで行った城下町の、魔法で光る歩道。
部屋の床にはその時と同じものが使われていた。
彼女が、自分にも魔法が使えるんじゃないかと思うきっかけになったものであり、最初の失望を与えたものでもある。
これは魔法の効果を付与した道具・魔法器で、踏むとその重みで上下に分割されていた魔法陣が合わさり、光る仕組みになっている。
オルーギオはその「灯石道」の製作者であった。
ココが初めて好きになった魔法、夢を与えてくれた魔法である。
彼も案外ロマンチックなところがあるようだ。
そしてけっこうチョロいのかも。
あとがき
次回10話は、アガットが活躍しそうな雰囲気。
彼女の掘り下げ回になるのかな。