午前3時の太陽

おすすめ漫画の紹介と注目の新刊コミックのレビューブログ

漫画版「幼女戦記」(東條チカ)平成のサラリーマンが幼女として戦場へ

漫画版「幼女戦記」(東條チカ)1巻 (角川コミックス・エース)

「幼女戦記」はカルロ・ゼン(原作)、篠月しのぶ(キャラクター原案)、東條チカ(作画)による漫画作品。

月刊コンプエースで2016年6月号より連載を開始した。

超合理主義エリートサラリーマンが転生したのは、なぜか幼女だった!? 魔法と小銃の入り乱れる異世界で、軍での出世&安全な後方勤務を目指すが、なぜかエースとして祭り上げられ……?

(「幼女戦記(1) (角川コミックス・エース)」より)

あらすじ:白銀のターニャ

統一歴1920年代、帝国と周辺諸国の戦争において、幼少ながら「ラインの悪魔」として恐れられた将校がいた。

ターニャ・デグレチャフ、彼女は航空魔導士として類まれなる才能を持ち、徹底した合理主義のもと軍での地位を確立していく。

 

ターニャには前世の記憶がある。

西暦2010年代の日本でサラリーマンであったその人物は、リストラを告げた相手に逆恨みから線路に突き飛ばされ、命を落とした。

そこで転生する前に創造主ともいえる存在Xと対面することになる。

神への信仰心なき彼に課せられた問題は、現状から逆転した生をうけ、追い詰められた末に改心すること。

非科学的な世界で戦争の時代に女として生まれ、社会的な地位とは無縁の環境で育ったのがターニャである。

彼女は孤児だった。

幸か不幸か彼女には魔法の才能があり、仕官の道が開かれたが、そのことが彼女を過酷な環境へと導くことになる。

「幼女戦記」(東條チカ)1巻より、安全で簡単なお仕事
(「幼女戦記」1巻より)

士官学校を卒業し北方の国境付近の観測手として任務に着いた彼女は、協商連合の越境を確認し、敵魔導中隊に遭遇する。

安全なお仕事であったはずが、一気に絶体絶命のピンチである。

であったのだが、即応部隊到着までの遅延防衛及び自然な形での戦線離脱で安全を確保するという難題を、持ち前の合理的思考によって解決した結果、単騎での敵部隊撃破という目覚ましい戦果を得た。 

「幼女戦記」(東條チカ)1巻より、一命を取り留めるターニャ
(「幼女戦記」1巻より)

初陣でのエース認定、生前では稀と言われる銀翼突撃章の授与と、華々しい経歴とともに彼女は帝国の英雄となっていく。

そもそも彼女の望みは安全で快適な後方での出世コースを進むことである。

だが存在Xの介入か、彼女にそれが許されることはない。

最も危険で死と隣合わせの最前線、そこが彼女の居場所であった。

幼女の皮を被った悪魔

本作は2016年12月に1巻が出て以降、ハイペースでの刊行が続いている。(2017年6月までに6巻発売予定)

舞台は近代ヨーロッパによく似た世界であり、航空魔導士と呼ばれる存在が特徴である。

首から下げている「魔導演算宝珠」によって魔力を具現化し、貴重な戦力と成り得るが、能力を持つ人材が少ないために、砲兵隊の目標を定めるための観測手や他部隊の救援などサポートが主な仕事であるようだ。 

「幼女戦記」(東條チカ)1巻より、新型宝珠エレニウム九五式の呪い
(「幼女戦記」1巻より)

そんな中で革命的な存在とも言えるのがターニャであった。

新型宝珠「エレニウム九五式」は魔導核を四基搭載し破格の性能を持つが、魔力を際限なく消費させ、常に暴走の危険が付きまとう。

この人類にはまだ早すぎる技術も奇跡によって彼女だけが制御することが可能になった。

言わばチートである。

だがその代わり、常に地獄のような環境に晒され続ける羽目になるのだった。

 

1巻ではこの新型宝珠の完成と、ライン戦線への参加までが描かれている。

後に「ラインの悪魔」と呼ばれるようになる彼女も、まだ安全な生活を送れると考えていた。

「幼女戦記」(東條チカ)1巻より、今度こそ安全な後方でエリートコースへ
(「幼女戦記」1巻より)

漫画版の特徴は、ターニャの子供らしさが描かれているところにある。

嬉しさに思わずスキップをしてみたり、身長が足りずに椅子の上に立って作戦会議に参加したり。

中身はおっさんなのだが、殺伐とした戦争描写の中で貴重な微笑ましさである。

そんな彼女に対する上の答えはこれだ。

「幼女戦記」(東條チカ)1巻より、もちろん最前線へ
(「幼女戦記」1巻より)

はたして安息の日は来るのだろうか。

 

ちなみに2017冬アニメとして放送されたアニメ版はだいぶ先までストーリーが進んでいるので、先が気になる場合はそちらを観ておくのもいい。

現時点での最新刊(4巻)がアニメ版5話あたりである。 

あとがき

先月Netflixに追加された際にBGM代わりに流してみた結果、漫画版も最新刊まで集めることになってしまっている。

現在6巻までの3ヶ月連続刊行中で、11月に7巻が発売予定とのこと。

なにこのハードスケジュール。

 

関連記事