「荒ぶる季節の乙女どもよ。」は岡田麿里(原作)、絵本奈央(作画)による漫画作品。
別冊少年マガジンで2016年12月より連載を開始した。
4巻は、文化祭の準備のためにみんなで合宿をすることに。
好意を寄せる幼なじみ・泉と「セックス」発言の張本人・新菜の急接近。和紗は膨らむ猜疑心と劣等感から、二人との距離感を見失い始めてしまう。そして文芸部員たち5人の悩みが“合宿”で交差する──。
前回はこちら。
文芸部の合宿と「恋の伝説」
文学作品の音読をすることを活動の中心としている文芸部は、文化祭でも朗読劇の形で発表することになっている。
そんな彼女たちに朗報が、と言っていいものか、実行委員からとある依頼が舞い込んできた。
それは学校に伝わる「恋の伝説」を創作して、朗読劇で広めて欲しいというものである。
いつもならこの手の話は門前払いの対象でしかなかっただろうが、今回はなぜか部長の曾根崎先輩が乗り気な様子。
彼女はここ最近著しい心境の変化が見てとれる。
周囲の恋愛話にも寛容的になり、表情も柔らかくなった。
この依頼を受けたのも何やら思惑がありそうで…
週末を利用して部の合宿を決行するのであった。
うまくすれば文化祭を盛り上げるだけでなく、告白の勇気がない生徒たちに行動を促すきっかけになるかも知れないのである。
言うまでもなく部員たちの中にも該当者がいそうなのだが。
泉への気持ちを自覚していながら、新菜と一緒のところを目撃した和紗は心を乱されていた。
かと言って直接問いただす度胸もないのである。
そんな二人が衝突することも含めて実りのある合宿になっただろう。
新菜が強く感情をあらわにするのは珍しい。
自分の知らないところで勝手に疑われて、気を遣われて、行動しないことの理由にされるのである。
友達として応援していた和紗に取られた態度に、彼女は怒っていた。
和紗としても、幼なじみとして近すぎる距離にいることで踏み込めないのもある。
口にした瞬間から長く積み上げてきた二人の関係が変わってしまう。
果たしてそれは自分が望んでいることなのか、簡単に答えは見つからないのだ。
それでも彼女は前に進む決心をした。
文化祭の空気に少しだけ勇気をもらって、泉に気持ちを伝えることが出来たなら、彼はどう答えるだろうか。
どちらにしても、泉なら和紗のことを大事にしてくれそうだ。
恋愛感情を出したばかりに気まずくなって、距離を置かれたりという思春期にありがちな心配はない気がする。
ただこのままうまくいくのかというと、そう簡単にはいかないぞというのが本作である。
まずは舞台が整ったというところか。
そして、もーちんも順調に百合方面へ歩みつつある。