Kindleの月替りセールに「落語百選 夏」のタイトルがあります。
しばらく前には春編が入っていたので、季節ごとに対象になるんでしょうか。
文庫版で持っていたので優先順位を後回しにしていたけど、こうなってくると気になってきますね。
子どもの頃からなぜかテレビの時代劇や物語がすきで、下町や長屋の人情物には親しみを感じていました。
熊さん八っつぁんご隠居さんの世界。滑稽で温かみのある物語に惹かれます。
たとえば山本周五郎の短編集「人情裏長屋」にはそういった話が詰まっています。
表題作は木挽町の裏長屋で先生と慕われる信兵衛と隣家の娘おぶんが、仕官を望む浪人が置いていった赤子の子育てに奔走する話。
お気に入りは風流化物屋敷。
とある藩の江戸家老の三男坊が柘榴屋敷と呼ばれる荒れ放題の屋敷に越してくる。
そこは夜になると化物たちの饗宴が行われると評判であったが、当の三男坊平之助は一向に意に介さない。
柘榴屋敷の備忘録をつけるのが日課の隣のとみ嬢は興味津々で話を聞き出すが。
これもおすすめです。
ということで、動画を3つ紹介します。
まんじゅうこわい
立川談志 Danshi Tatekawa 饅頭こわい 1/3 落語 Rakugo - YouTube
立川談志のまんじゅうこわい。
枕が長いです。でも長いものでも味があり、時には持ち時間のほとんどが枕だったりする場合もあって。
この動画では下げ(落ち)を先に言ってしまうという面白い回です。
この話は春編に入ってます。
崇徳院
十代目金原亭馬生 「崇徳院」 - YouTube
いわゆる恋の病。花見の帰りに茶屋で出会った二人、どこの誰かもわからず思いはつのり寝込んでしまう。
手掛かりは崇徳院の歌のみ。
百人一首に出てくる「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」がそれにあたります。
歌で気持ちを伝えるというのは粋ですね。
形は違いますが近年では言の葉の庭でも使われました。
夏編にあります。
井戸の茶碗
三代目古今亭志ん朝 - 井戸の茶碗 - YouTube
正直者のくず屋の清兵衛さん、生活に困った浪人から古い仏像を預かるが、中には先祖が遺した50両の大金が入っていて。
登場人物たちの欲がないこと。
それぞれの意地、頑固さは清々しくもあります。
残念ながらこのシリーズには収録されていないようです。
あとがき
僕と同年代以下の人で、寄席で落語を聞いたことがある人はどのくらいいるのでしょう。
一時期ポッドキャストでも番組が多くありましたがいつの間にかほとんど無くなったみたいですしね。
古い時代の話というのは今では使われない言葉もあったりして、聞いただけではすぐにわからない場合もありますが、文字になっていると理解しやすいですよね。
なので本から入るのも一つの手かもしれません。
代表的な演目が揃っているので、概要を知るのに最適です。
ちなみに収録作は、出来心、道灌、狸賽、笠碁、金明竹、鹿政談、しわい屋、百川、青菜、一眼国、素人鰻、二十四孝、売り声、船徳、お化け長屋、たが屋、夏の医者、佃祭、あくび指南、水屋の富、紙入れ、千両みかん、麻のれん、三年目、唐茄子屋の25作。