「たまこラブストーリー」は山田尚子監督による2014年公開のアニメ映画。
京アニのTVアニメ「たまこまーけっと」のその後を描いている。
周りの色んなことが変わっていって、少しずつ、少しずつ、たまこの心は揺れ始める・・・。
あらすじ
小さいけれど賑やかな、うさぎ山商店街。
生まれたときから向かいどうし、同じ餅屋の息子と、娘。
大路もち蔵と北白川たまこ。
もち蔵は、密かにたまこに恋をしているのだが。
高校3年生になった春の日、それぞれが進路について考え始めるようになる。
映研に所属しているもち蔵は、ちゃんと映像の勉強をしたいと東京の大学へ進学することを決め、たまこに想いを伝えることにする。
予告編動画
『たまこラブストーリー』ロングPV - YouTube
「後悔の苦さは、何かをした証。ひとつひとつ、味わいな。」
真っ直ぐな青春ラブストーリー
「どうも、キャッチは苦手なんだよね。どうしたもんかな?」
「必死につかみにいけば取れるよ。」
冒頭で、バトン部に所属するたまこが部長で親友の常磐みどりと交わす言葉。
この会話が本作を象徴している。
もち蔵に告白されたたまこが、戸惑いながらも気持ちを受け止め、自分の答えを出すまでの物語。
もち蔵は誰も気付いていないと思っているが、たまこ以外にはバレバレである。
そして、やがて二人が一緒に歩むであろうことは周知の状態。
友人たちや家族はそれを見守る立場にいる。
そんな中で複雑な思いを抱えているのが、みどりとたまこの父。
この二人も受け止める側だね。
娘の父親としては当然として、みどりの方。
TVアニメ版を見ていないので、みどりはもち蔵を好きなんだなという印象。
そして、長い付き合いのたまこの事も大事に思っていると。
なのでTV版を見てる人の、みどりはたまこが好きだと考えているらしい事を知ってびっくりした。
そこを念頭に観返してみると、映画版はどちらとも取れるように描かれていると感じる。いずれ見比べてみたい。
じゃんけんからの、「いつ言うの?」がすごくかわいい。
いつまでも変わらないと思っていたものが少しずつ動き始める。
高校3年生、地方出身で地元を出る人間は、幼なじみと顔を合わせることも数える程度になる。
気持ちを伝えなければと思うもち蔵、「帰ってこいよ」と声をかけるたまこの父、 たまこを駅に走らせるもの。
糸電話が届かない距離。
たまこの最後のセリフ、劇場で観た人はやられただろうな。
そしてもち蔵の反応、乙女か。
17歳の男女が何かを考えているだけでもう青春ですよね。彼らが息することですら青春に見えてしまいます。
この作品ではそういう他愛の無さをも愛せるようなフィルムを目指しました。(監督インタビューより)
この言葉の通りじゃないかな。
表情とか仕草のひとつひとつが愛しくなるよ。
青春ていいね。
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
出演:洲崎綾 / 田丸篤志 / 金子有希 / 長妻樹里 / 山下百合恵 / 日高里菜 他