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「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)遅れてきた恋心を手紙がつなぐ

漫画「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂) (マーガレットコミックス)

「スタンドバイミー・ラブレター」は増田里穂による漫画作品。

別冊マーガレットで短期連載として発表された。1巻完結。

高校に入り、初めての告白を断った女の子が、その日から少しづつ相手に惹かれていく様子を描いている。

帯の言葉は、「断った瞬間、恋に落ちるなんて。」

初めての告白

夏休み直前。相川葉月は、名前も知らない同級生男子からラブレターをもらいます。しかし緊張からその告白を断ってしまう葉月。しかし「返事くれてありがとう」と言って笑ってくれた彼の顔を見た瞬間から、葉月の恋心は動きはじめます。初々しい2人の夏恋ストーリー!

(あらすじ:「スタンドバイミー・ラブレター (マーガレットコミックス)」より)

憧れがないわけではなかったが、クラスの違う、名前も知らない男子の告白は、葉月にときめきよりも不安をもたらした。

接点のない相手にどう対応していいか分からず、こんなものかと思いつつ断ってしまうのだった。

それは夏休みに入る前の日で、しばらく顔を合わせなくても済むように、逃げの気持ちからきたものだったのだが、別れ際に見た笑顔で揺らぎ始める。

漫画「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)より、泉へ告白の返事をした葉月
(「スタンドバイミー・ラブレター」より) 

結果はどうあれ、きちんと返事をしてくれた彼女に感謝と笑顔を見せる泉くん。

彼はサッカー部でやや小柄だがクラスでも人気のある男の子。

お互いに初手を誤った感じだが、ここから始まっていく。

遅れてきた恋心

笑った顔も、耳まで真っ赤にして照れる顔も、葉月にとっては初めて見る表情。

答えを出すには、相手のことを知らなすぎた。

この日から、無意識に姿を追ってしまうことになる。

 

泉は告白は断られたものの、葉月に避けられたくなくて思いを忘れようとしている。

葉月は逆に顔を合わせるたびに相手のことが気になっていく。

諦めていく過程と好きになっていく過程が交錯する。

漫画「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)より、手紙と相手が気になる
(「スタンドバイミー・ラブレター」より) 

そんな二人の間を取り持つのは手紙 。

振った相手からのラブレターの処分に困るのだが、それを捨てることも仕舞っておくこともできず、枕元に置いている葉月。

ぎこちなく綴られた文章でも、気持ちはこもっているその手紙を、何度も読み返してしまう。

夏休みであまり会えないということが、かえって思いをつのらせていく結果に。

 

漫画「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)より、葉月を見舞うれんちゃん
(「スタンドバイミー・ラブレター」より) 

共通の友人として登場する、れんちゃんこと蓮野晃(はすのあきら) 。

彼女の距離感もちょうどいい。

茶化すでもなく、煽るでもなく、いつも側にいて気遣ってくれている。

二人を見守る親心的な。

そして作中で一番男前なキャラ。

 

序盤から両思いなので見ていてもどかしいんだけど、やっぱりこの人が好きだとの結論に達するまでのすれ違いや葛藤の初々しさを味わえる。

表紙もいいね。

 

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