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「大上さん、だだ漏れです。」1巻(吉田丸悠)思春期の妄想がほとばしる

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻 (アフタヌーンコミックス)

「大上さん、だだ漏れです。」は吉田丸悠による漫画作品。

月刊アフタヌーン2016年12月号より連載を開始した。

わたしのアソコ、あばかないでっっ!!  「男子のアレって仕組みどうなってんの?」 エロいことに興味しんしんだが、それをひた隠しにしている女子高生・大上さん。こんなのバレたら生きてけない……肩身が狭いながらも平和に過ごしていたはずが、クラスの柳沼(やぎぬま)くんと接したことで、リビドーがモロ出しになってしまう! さわりたいけど、さわれない! 純情な妄想が暴発する思春期エロラブコメ、全力発射!!!

(「大上さん、だだ漏れです。(1) (アフタヌーンコミックス)」より)

特異体質男子と妄想女子

高校に入学してから2ヶ月が経とうというのに、大上芽衣子(おおがみ めいこ)には友達がいなかった。

教室でもいつも読んでいるのが性に関する本だなんて、誰にも知られたくない。

思春期まっただ中の彼女は、異性のことが気になって気になってしょうがないのだが、中学時代の出来事がトラウマとなり周囲に壁をつくってしまっていた。

うっかり誰かと仲良くなったりして、脳内妄想を口走ってしまったら目も当てられない。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、ちんこ見せて
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

そんなある日、クラスで同じように一人で過ごしている柳沼くんと関わるようになる。

きれいな顔立ちをしていて穏やかな性格の彼は、皆にも嫌われているわけでもないのに、周囲との接触を避けているようなのだ。

その原因は彼の体質にあった。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、触れると本音を口走ってしまう
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

原因はわからないが、彼の身体に触れた者は、その意志に関係なく本音を口走ってしまうという。

幼い頃から他人の本音を聞かされてきた彼は、すでに達観している。 

男の人も女の人もそういうものだと思っているので、今さら大上さんのセクハラ発言で動じることはない。

代わりに、お互いの状況を知ったところで友達の練習をすることを提案するのだった。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、本音があれとかピュアかよ
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

1話での「ち◯こ見せて」がインパクトが大きいが、全体的にはなかなか真っ当な青春ものになっている。 

見た目は恐いが手芸が得意なピュア男子・松隈くんや、クラスのリア充女子・根津さんも登場し、ぼっち生活から広がっていく。

柳沼くんを介して顕になる彼らの妄想は、この年代の子たちには当たり前の異性への興味や、些細なものだが聞きにくい悩みだったりする。

他の人も同じことを考えたり悩んでたりするんだと気付ければずいぶん楽になる。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、袋とじを覗く動き?
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

コンビニの雑誌コーナーで、袋とじが気になる根津さんと察する大上さん。

同類かな?

彼女は男子にとってのワキ毛とは何なのか知りたがっていた。

このことがきっかけで彼女は大上さんと意気投合することになる。

興味をもつのは恥ずかしいことではないし自然なこと。

口にするかどうかの違いだったりする。

柳沼くんの特異体質と、彼に勇気を与える?大上さんによって周囲の人々にも変化が表れる。

もともと自己肯定感の低かった二人の再生と成長の物語と言えるかもしれない。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、いつかきっと確かめたいの
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

とりあえず大上さんにはこのまま突っ走ってもらいたい。

 

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