「キートンのセブンチャンス」はバスター・キートン監督・主演による1925年公開のサイレント映画。
バスター・キートンは1895年映画誕生の年に生まれ、後に三大喜劇王の一人となる。
概要・あらすじ
証券会社を共同で営む主人公は好きな相手に愛を伝えられずにいた。
会社は業績不振で破産の危機でもあった。
そこへ祖父の遺産が転がり込む。条件は27歳の誕生日の午後7時までに結婚していること。
「誕生日っていつだ?」「今日だ」
冒頭の二人と犬のショットののんびりした空気から一転、後半のアクションのスピード感。
愛はお金では買えないけれど、借金を背負わせる訳にいかず悩む主人公と、お金よりも愛が欲しいヒロインと。
結婚式の場に辿り着いた主人公にヒロインが伝える言葉がすばらしい。
原題:Seven Chances
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン / ロイ・バーンズ / ルス・ドワイヤー / ジーン・アーサー
喜劇王バスター・キートン
日本でチャップリンを知らない人はいないと思いますが、バスター・キートンやハロルド・ロイドを知っている人はどれくらいいるでしょうか。
サイレント映画の時代に活躍した、からだを張ったアクションが特長のスターでした。
ジャッキー・チェンは彼らの大ファンで、自らの出演作品で多くのオマージュのシーンが存在します。
人気作のプロジェクトAやポリス・ストーリーなどもそう。
もっと多くの人に見てほしい映画です。
時代が過ぎても古びないおもしろさがあります。
700人の花嫁候補と教会からの逃走
主人公にはずっと好きだった女性がいて、気持ちを伝えられずにいましたが、祖父からの遺言書をきっかけにプロポーズをします。
喜ぶ彼女。
しかし、不用意にも遺産の条件の話をしてしまうのです。
「誰かと結婚する必要があるんだ」
誰でもいいの? お金のため?
ショックで拗ねてしまった彼女を前に途方に暮れる主人公。
それでも会社のため遺産は手に入れなければなりません。
花嫁探しが始まります。
手当り次第に求婚する主人公に女性たちは見向きもしませんが、遺産の話が知られたとたん、街中の女性が教会につめかけます。
ここからがキートンの本領発揮、見所です。
結婚式の場からの逃走シーンのある名作は「或る夜の出来事」や「卒業」、などがありますが、ここまでおおがかりなものは後にも先にもないのではないでしょうか。
主人公の運命やいかに。
あとがき
トップの画像が教会の場面です。シュールですよね。
こういうじわじわくる系のは好きです。
本作には無名時代のジーン・アーサーも出演しています。
フランク・キャプラ作品「オペラ・ハット」「我が家の楽園」「スミス都へ行く」などで知られる女優です。
どのシーンかわかるでしょうか。