「花とアリス殺人事件」は道満晴明による漫画作品。
岩井俊二監督の2015年公開の同名映画のコミカライズである。
岩井俊二監督による初の長編アニメ映画『花とアリス殺人事件』を、
『ニッケルオデオン』の道満晴明がわりと自由にコミカライズした異色作。
謎と友情の物語、そのマンガだけの結末をどうぞ見届けてください。(「花とアリス殺人事件 (ビッグコミックス)」より)
あらすじ
有栖川徹子(旧姓黒柳)は、両親の離婚で母と神奈川の田舎に引っ越してきた。 編入先は石ノ森学園中学校の三年二組。 教室の中央の机は空席で、そこに座った徹子をクラスメイトたちは避け始めるが、前年に起きた出来事と関係があるらしかった。
「花とアリス殺人事件」二人の出会いと友情の始まり - 午前3時の太陽
殺されたユダと4人の妻、事件以来不登校になっている引きこもりの生徒。
教室の床に描かれた魔法陣。
有栖川徹子が転校してきたことで、その結界が破れてしまったという。
クラスを仕切っている少女、陸奥睦美の行う儀式によって平穏な日常に戻ったが、事件に興味を持った徹子は当時を知る引きこもりの荒井花を訪ねることにする。
ムーの誕生
それは初恋のようなもので
映画をもとにしながら、わりと自由なコミカライズということで、活躍の場が増えたのはムーこと陸奥睦美。
クラス替えで初めての席決めの時、中央の席を引いてしまった時から彼女の学校生活は大きく変化する。
呪われた女として誰からも口を聞いてもらえずにいた彼女だったが、占いで告げられた待ち人の登場に向け、自力で切り抜けることにした。
呪いを解くのは自分の役目だと。
そもそも彼女は黙っていじめられているほど弱くはない。
スクールハンター千葉を瞬殺し、その後下僕にする力をもっている。
だが友人のできない期間はだいぶ堪えたようで、アリスの転校を誰よりも喜んでいたのは彼女だった。
本作の半分は「ムーとアリス」だと言っても過言ではない。
そしてさらっとメタ発言。
4人の妻(ユダ)
映画の方ではユダ自身の生死の確認のために花とアリスが協力する形だった。
漫画版では事件の真相を知るため4人の妻(ユダ)に会いにいく物語だ。
今では卒業してそれぞれ高等部に進学している。
アリスの家のお隣さんで、去年の三年二組の一人、荒井花は事情に詳しい。
彼女と、高等部の4人はみな呪いにかかったままなのだ。
呪いというよりは呪縛かな。
そこからの解放が軸になってくるわけだけど、意外なほどほのぼの学園物に仕上がっている。
補完的な内容としても、パラレルな世界の物語としても楽しめると思う。