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「蟲籠奇譚」1巻(西塚em)虫たちの楽園に迷い込んだ少女と生物部活動記録

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻(コミックDAYSコミックス)

「蟲籠奇譚」は西塚em(にしづか えむ)による漫画作品。

Web漫画サイトコミックDAYSで2018年3月より連載を開始した。

帯の言葉は、「生物部はカワイイの楽園」「最注目イラストレーター西塚emが描く、生き物溺愛漫画」。 

転校生の少女が迷い込んだ先は怪しげな空間で…

転校生夢飼ねねが、校内を舞う蝶に導かれた先で出会ったのは、虫を偏愛するひとりの変人と、奇奇怪怪・一種異様な虫たちだった――。気鋭のイラストレーターとして注目を集める西塚emが描く、美少女×蟲たちのめくるめく耽美ワールド。

(「蟲籠奇譚(1) (コミックDAYSコミックス)」より)

生物部へようこそ

夢飼ねねは、神樹高校へ転校してきたばかりの2年生。

思いがけず幼なじみの菫野かをりと再会し、新たな学校生活に楽しみを見出したところであったのだが。

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻より、転校先で幼なじみとの再会
(「蟲籠奇譚」1巻より)

放課後の校内で、現れた蝶につられて迷い込んだのは生物準備室。

そこで誤って標本を破損してしまった彼女は、部員の足りない生物部に強制仮入部させられてしまうのである。

存続の危機にある部に不釣り合いなほど立派な温室には、多種多様な植物が虫たちのために栽培されていて、それらを世話するのが彼女の仕事。

もともと虫嫌いの彼女にとっては、悪夢のような日々が始まる事になる。

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻より、生物部のマスコットのイモムー登場
(「蟲籠奇譚」1巻より)

部のマスコット「いもむー」 との初対面はトラウマものであった。

めくるめく…

本作は、そんな彼女が部長の虫塚をはじめとした変人たちに困惑しながらも、少しずつ虫たちの世界に親しんでいく様子を描いている。

恐怖に感じる一番の原因は、未知であること。

虫たちの生態を知れば、意外とかわいい部分が見えてくるかもしれないし、そうでないかもしれない。

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻より、少しずつ慣れていく
(「蟲籠奇譚」1巻より)

最初は嫌がっていた彼女も、世話をしていくうちにだんだん部員らしくなっていく。

もともとは規定の人数が揃うまでのお手伝いなのだけど、その時が来てもここに残ることになるんだろうね。

菫野かをりと代替わり後の話をしている場面も見られたが、実は部長と同学年なことに気付いてなかったり?

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻より、あたしがかわいいからか?
(「蟲籠奇譚」1巻より)

一応公式のコピーでは「美少女×蟲たちのめくるめく耽美ワールド」となっているが、この夢飼ねね、なかなかの顔芸ヒロインである。

変人だらけの登場人物の中で唯一のツッコミ役としてフル稼働しているので、表紙のイメージとのギャップも見どころだろう。

初日ではいもむーに拒否反応を示していた彼女も、いつの間にか巨大イモムシ抱き枕を所望するほどに。

「蟲籠奇譚」(西塚em)1巻より、こんな抱き枕ほしい
(「蟲籠奇譚」1巻より)

1冊読み終わる頃には、結構な量の虫知識を摂取していることになる。

そのころにはイモムシたちもかわいく見えてくるかも。

あとがき

作者は以前コミックリュエルで「非合法アンダーランド」というマニアックな1冊を出しているので、さらに深みに嵌りたい人は読んでみるといいと思う。

 

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