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「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」1巻(渡れい)異世界日本で悪鬼と化した英霊との対決を描く物語

「Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」(渡れい)1巻 (講談社コミックス)

「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」 はTYPE-MOON(原作)、渡れい(作画)による漫画作品。

2019年1月より講談社の漫画アプリ・マガポケで連載を開始した。

カルデアのマスター・立香の意識は、突如江戸時代の日本へ奪われた。異なる歴史を辿る下総国にて、女剣士・宮本武蔵と共に、凄惨な殺戮を繰り広げる七騎の“英霊剣豪”との死闘をくぐり抜けてゆく──。大人気アプリゲーム『Fate/Grand Order』1.5部を完全コミカライズ。

(「Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負(1) (講談社コミックス)」より)

人気ゲームFGOの本編1.5部の第3章にあたるが、ほぼ同時にKADOKAWAや一迅社と分担して1.5部のコミカライズが行われている。

ちなみに現在1部のコミカライズ版も連載中であり、順番通りに全て読まなければならないわけではないことを示している。

中でも本作はタイトルからして構成が分かりやすいので最初の一冊としてはいいかもしれない。

ただし主人公がマスターとなるエピソードは押さえていた方が理解は早いと思う。

第1部を扱っている「Fate/Grand Order -mortalis:stella-」の冒頭部分を参考に読んでおくのがおすすめ。

本編で言及されない重要事項として、ゲーム内で主人公の性別が選べるために作品ごとに藤丸立香が男の場合と女の場合がある。

ユーザーの間ではそれぞれ『ぐだ男』『ぐだ子』で通じることが多いようだ。 

藤丸立香、異世界日本で女武蔵と出会う

人類史を観測し、その継続を保証する機関カルデアにおいて、2017年以降の未来が確認できない事態が発生した。

その原因となると思われる空間特異点へ専任の魔術師を送り込むレイシフトによって介入しようというのが第1部の大まかな流れ。

マスター藤丸立香(ふじまる りつか)とマシュ・キリエライトの活躍でなんとか回避に成功するのである。

本作はその後を描く物語。

 

カルデア内の書庫でマシュと話していた立香は、突然意識を失い見知らぬ土地へと飛ばされていた。

そこで出会ったのは以前にも行動を共にしたことのある女性の宮本武蔵である。

「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」(渡れい)1巻より、再会した宮本武蔵と藤丸立香
(「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」1巻より)

彼女もまたこの世界へ来たばかりなのだという。

立香とは別の形で時空を渡ることのできる並行世界の武蔵。

共通点はここがどこでいつの時代だか分かっていない点である。

そこで迷子同士で手を組むことになるのだが… 

どうやらここは彼女たちの知る歴史とは違う日本らしい。

徳川の世の下総国でありながら、この時代にはないはずのものが存在する。

「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」(渡れい)1巻より、立香たちをかばう宝蔵院胤瞬
(「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」1巻より)

悪鬼羅刹の類もそのひとつ。

この世界で何が起きていて、なぜ彼女らが迷い込んだのか?

1巻時点では黒幕やその目的は謎だが、英霊剣豪登場シーンの圧倒的強敵感はわくわくする。

単行本でもカラーで再現されているのはうれしい。

何者かがこの地に召喚した英霊(サーヴァント)の成れの果ての英霊剣豪に対して、人の身である武蔵からは格上の相手ばかり。

絶望的な戦力差を前にして、その場から離脱するのが精一杯なのである。

ここから這い上がっていく姿が楽しみだ。

「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」(渡れい)1巻より、マシュを元気づける酒呑童子
(「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」1巻より)

英霊剣豪の中には別存在としてカルデアに召喚されている者もいて、立場による違いを比較してみることもできる。

酒呑童子は味方だと頼もしいキャラなのだが、立香を心配する余り抜け殻状態になったマシュを煽る場面とか好きだな。

この巻では勝負一番目ランサー・プルガトリオ戦までで一区切り。

「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」(渡れい)1巻より、貴方の境地に私も必ず
(「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 英霊剣豪七番勝負」1巻より)

闇に落ちたとは言え、英霊剣豪もかつては一廉の武人。

戦った相手への敬意を忘れない武蔵の姿がいい。

 

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