「MAO」は高橋留美子による漫画作品。
週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。
89話、洞窟を抜けだした幽羅子の前に現れたのは…
前回はこちら。
これは、同じ「呪い」を背負う摩緒と菜花の “全てを終わらせる” 物語――
15歳の黄葉菜花(きば なのか)は大正時代にて同じ「猫鬼の呪い」の摩緒(まお)と出会う。彼は陰陽師の名家・御降家の後継者5人が狙う生贄。未だ続く5人の兄弟子と想い人・紗那との因縁を清算する! 敵側に捕まった菜花は摩緒の想い人に似る幽羅子と出会う。彼女には御降家への呪いを受け続けた壮絶な過去があり…
(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)89話 ―いたわり―」より)
幽羅子と摩緒の出会い
暮らしていた洞窟の部屋を抜け出し、外の世界を初めて知った幽羅子。
御降家の迎撃システムのためか自由な時間は長くは続かないものの、そこで彼女は摩緒に出会うのである。
当主以外の人間を見たことがないため戸惑う彼女に、やさしい言葉を掛けてくれた相手。
当時の摩緒は弟子入り前で、屋敷を訪れるのは数年の月日を待つことになるが、その間に少しずつ思いは募っていったのだろう。
洞窟の外の世界を覗くことを覚えたのもこの頃らしい。
自分の意志で呪いを使役するのも初めてのことだったりして。
それまで疑問を挟む余地もなかった生活の中に、摩緒が現れた。
彼女にとっては大きな変化だけど、摩緒にとっては一度会ったことがあるだけの相手。
覚えられていなくても無理はない。
御降家の帝都進出の際にすれ違ったのが、900年振りの念願の再会だったとすれば…
宝物殿の火事騒動の混乱に乗じて自由の身になったのか、あるいは誰か手引した者がいるのか。
この時代に至るまで生き抜いてきた彼女を、当時のイメージのままで見るのは少々危険だろうね。
菜花に対する視線からは老獪さが窺われるし、言葉通りに受け取ってしまうと術中に嵌るおそれもありそう。
幽羅子が不知火の側で成そうとしているのは何なのか、摩緒に対してどうしたいのかがまだ見えてこないが、大きな疑問点だった彼女の正体が分かってすっきりしたかな。
背景を知ってしまった事で戦いにくくなる点も否めないので、揺さぶりをかけて来ているとも考えられる。
そもそも生い立ちからして幽羅子とは倫理観も異なっているだろう。
対応は慎重に行いたいが…