「MAO」は高橋留美子による漫画作品。
週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。
90話、菜花に接触した幽羅子の狙いとは。
前回はこちら。
これは、同じ「呪い」を背負う摩緒と菜花の “全てを終わらせる” 物語――
15歳の黄葉菜花(きば なのか)は大正時代にて同じ「猫鬼の呪い」の摩緒(まお)と出会う。彼は陰陽師の名家・御降家の後継者5人が狙う生贄。未だ続く5人の兄弟子と想い人・紗那との因縁を清算する! 敵側に捕まった菜花は摩緒の想い人に似る幽羅子と出会う。彼女には御降家への呪いを受け続けた壮絶な過去があり…
(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)90話 ―言葉は呪い―」より)
言葉は呪い
幽羅子の元から帰還した菜花を伴って、華紋の住む屋敷を訪ねた摩緒たち。
無事に済んだから良かったものの、彼らの気付かぬ内に敵に攫われた事実は重く受け止めなければならないだろう。
今回は相手に危害を加えるつもりがなかっただけで、人質にされたりそのまま消されたりなんて事も十分考えられるのである。
例によって百火は蚊帳の外で…
幽羅子の置かれていた境遇を聞かされた事で何が変わるのか。
華紋はそこまで甘くないだろうけど、摩緒たちは戦いにくくなるだろうね。
戻ってからの菜花は明らかに様子がおかしいし。
幽羅子と直に接触したにも関わらず、なぜ彼女が紗那と同じ顔をしているのか、なぜ不知火の側にいるのかという肝心な部分は謎のままなのである。
自分の顔だという言葉を信じるならば想像できることはあるけれど。
呪いの器となる役目を負わされた憐れな少女の印象を植え付けられる結果となった。
危害を加えずに、相手の戦力を削ぐという点では有効な手段。
特に今の菜花にとっては…
思った以上に効いているのは、菜花の中に幽羅子と似た感情があるから。
それも900年の積もり積もったものを前にして自分と比べ動揺してしまったのだろう。
今回の出来事について、華紋は「菜花が幽羅子に呪われた」と分かりやすい表現をしてくれた。
そもそも、当時の幽羅子はともかく現在の彼女に同情する必要はないのである。
菜花の弱い部分に付け込もうとした姿勢を警戒するくらいでちょうどいいのかも。
無事に戻ったことだし、改めて入学祝いをしてもらう菜花。
半袖になるくらいの時期だけど、すっかり忘れられていたらしい。
摩緒との距離感を悩む彼女の気持ちは本人には伝わっていないようだ。
まだまだ遠いね。