
「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。
月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。
久乃木学園との練習試合も後半に入り、ついに二桁得点を許してしまう。
絶望的な点差に蕨青南の選手たちは…?
前回までの内容はこちら。
戦略的敗退か反撃か
鷲巣監督に課された「10点差以上無失点」のノルマを達成した久乃木学園だったが、その後も猛攻は止まらず点差は開いていく。
上を目指して走りだす覚悟があるのか、私はそれが見たい
圧倒的な力の差をみせつけられた後の、選手の態度こそが問題。
能見コーチも、勝てるとは最初から思っていない。
とはいえ、戦っている選手たちにはきつい要求でもある。

次の試合に備えて油断させたままで終わるのか、それとも全力で一矢報いに行くのか。
目先の1点より未来の勝利に賭けるのか。
そもそも再び対戦できる保証はない。
関東大会か全国大会を勝ち抜いていけば、いずれは当たるかもくらいのレベルなので前向きと言えば前向きなのだけど。
左サイドで久乃木のDF佃に抑え込まれ、精彩を欠いている周防の口から出た戦略的敗退の言葉。
理屈としてはあるかもしれないが、納得しないものがここにいる。

負けたくない。
それ以上に、何も出来ないまま終わるのは屈辱だ。
周防も中学時代は弱小チームで孤軍奮闘してきた選手。
次の対戦のことを考えるようになったのは、頼れる仲間ができたことが大きいのかもしれない。
もともと負けず嫌いなら恩田ともいい勝負だ。
流れが変わる
後半は恩田を起点にすることで、ボールを前に運べるようになり、曽志崎がフリーになるチャンスもやってくる。

曽志崎はチームの中で唯一実績のある選手。
年代別の代表として相手チームとも顔見知りで警戒されている。
彼女が動けるようになれば蕨青南の攻撃の幅が広がるはずだ。
選手一人で戦局が変わったか

強敵を相手にしたときの恩田は、生き生きしている。
女子サッカーに期待などしていなかった。
男子サッカー部にいるときよりもレベルが落ちると心配していた。
だが彼女はこの日、女子サッカーにやりがいを見つけたのかもしれない。
蕨青南の反撃がはじまる。
あとがき
鷲巣監督のこのセリフは、前作での恩田のセリフ、「私から目、離すなよ」からきているんだろうね。
1話からこの練習試合をとおして、いくつもセルフオマージュのような場面が見られる。
作者も恩田希の登場を昔からのファンへのサプライズと言っているようなので、前作「さよならフットボール」を知っているとより楽しめると思う。
今回の4話が収録されている第2巻は2017年1月17日に発売予定。