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「アクロトリップ」1巻(佐和田米)魔法少女が好きすぎるオタク女子が悪の組織の参謀に

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻(りぼんマスコットコミックス)

「アクロトリップ」は佐和田米(さわた よね)による漫画作品。

月刊りぼんで2017年より連載を開始した。

悪に堕ちる。オタ活のために!新潟県某市に住む伊達地図子は、街を守る魔法少女を愛するオタク少女。しかし、肝心の悪の総帥・クロマがヘタレでヨワ過ぎるため、もはや誰も二人の戦いを気にしていなかった。「魔法少女をもっと輝かせたい…!」その欲望(?)が、内気な中学生を、変なヤツば~っかりの悪の道へ導いてしまう…『りぼん』で大反響を巻き起こしている新感覚・悪堕ちコメディ!【収録作品】描きおろし特別編

(「アクロトリップ 1 (りぼんマスコットコミックス)」より)

魔法少女好きの中学生

伊達地図子は、とある田舎の女子中学生。

この街には魔法少女がいる。

悪の組織フォッサマグナの送り込む怪人や、悪の総帥クロマを相手に戦う姿は、地図子にとってあこがれの存在であった。

むしろ愛していると言ってもいい。

ベリーブロッサム活躍のニュースを見るだけで泣けるほどである。 

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻より、悪の組織に勧誘される地図子
(「アクロトリップ」1巻より)

そんな彼女が、ある日悪の組織に勧誘されるのである。

駅前の大型ビジョンを見ながらダメ出ししている所を、クロマ本人に聞かれていた。

最近の彼らはベリーブロッサムに押されっぱなしで、このままだと撤退するのも時間の問題だという。 

そこで、地図子を参謀に迎え入れたいとの申し入れであった。

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻より、悪の総裁は魔法少女好きの同士だった
(「アクロトリップ」1巻より)

普通の女子中学生の地図子にとって、簡単に聞き入れられる話ではない。

たとえ彼がベリーブロッサム大好きな同志だったとしても。

推しが輝いているところを見たい

本作は、地図子がベリーブロッサムに活躍してもらうために奮闘する姿を描いている。

時には悪の組織への戦術を指南し、時には魔法少女側への演出について熱く語り、彼女の休まる暇はない。

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻より、マシロウの存在価値を熱く語る地図子
(「アクロトリップ」1巻より)

それでも大好きなベリーブロッサムに間近で関われることは、彼女にとってこれ以上ない幸せであるだろう。 

魔法少女側のマスコット、マシロウにプロデュースを打診されたこともあったが、現時点で最もベリーブロッサムを輝かせることができる方法は、敵を強くすることなのだった。

もしも悪の組織が強かったなら、堂々と正義の側に付いたかもしれないのだが、悪の総帥クロマはなかなかのヘタレだったのである。

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻より、敵がいない魔法少女は失業の危機
(「アクロトリップ」1巻より)

彼女に悪の道を歩む決意をさせたのは、 フォッサマグナの撤退発表でベリーブロッサムが魔法少女としての仕事を失い、ボランティアガールと化した姿を見てしまったこと。

街が平和になるのはいいことだけど、悪の組織がいないと正義の味方も必要がなくなるのである。

大好きなベリーブロッサムが見られなくなることは、地図子にとって一番避けたい事態。

もうなるしかない、悪の参謀に。

「アクロトリップ」(佐和田米)1巻より、ベリーブロッサムが最高に輝いてる瞬間
(「アクロトリップ」1巻より)

最高に輝く魔法少女の姿を見られるのは、彼女のおかげなのである。

あとがき

掲載誌はりぼんなので普段は読む機会はないのだが、少年ジャンプ+で公開されたのをきっかけに手に取って見た。

悪の参謀として魔法少女に苦戦を強いる立場だが、えげつないこともなくテンポのいいギャグ漫画になっている。

 

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