「SWEET SIDE」は紀伊カンナによる漫画作品。
中・後編はFEEL YOUNG 2018年5・6月号に掲載された。
同誌で不定期連載されているシリーズ物の一遍であり、最終回に当たる。
千代、たまき、岸、キキのその後は…
2016年7月号(6月8日発売)「誰だってスカイラーク」34頁
2017年1月号(12月8日発売)「魔法が使えなくても」44頁+センターカラー+表紙
2017年7月号(6月8日発売)「パラダイス!」30頁+センターカラー
2017年12月号(11月8日発売)「杉並区にて」32頁
2018年3月号(2月8日発売)「SWEET SIDE」前編24頁+センターカラー
2018年5月号(4月8日発売)「SWEET SIDE」中編20頁+表紙
2018年6月号(5月8日発売)「SWEET SIDE」後編18頁(「鳥と海賊(紀伊カンナ公式ブログ)」より)
前回はこちら。
千代の再就職
メイドカフェでのキキの笑顔を見て、アニメーターとして復帰することにした岸が職場へ戻ると、千代はすでに辞めた後であった。
彼女もすでに本来の夢に向かって動き出している。
高校時代の回想で美容専門学校へ進むことを決めた姿が描かれていたが、この度、美容師として再就職を果たしたようだ。
普段から時々たまきの髪を切っていることは言及されていた。
そのなかでも今回の彼女は張り切り度がちょっと違う。
この日は、たまきのバンドの撮影があるらしく、専属スタイリストとしては腕の見せ所なのである。
黒髪だったたまきがとうとう銀髪に。
彼女いわく売れないバンドマンのコスプレから、垢抜けた姿へとイメージチェンジ。
さすがにたまき本人もびっくりしていたが。
次第に熱が入ってくる千代。
美容師とアニメーターと全く畑違いな仕事も、彼女の中ではたまきを介して繋がっているのかもしれない。
外での凛とした姿とたまきの前でデレる姿とのギャップがいい。
岸とたまき
シリーズとしては今回で最終回ということで、登場人物それぞれのその後が描かれている。
最も環境が変化していたのは岸。
毎回不憫な役回りで、それでいて同情を誘うタイプでもなく、ある意味一番心配なキャラである。
好きになった相手に、顔を合わせるたびにキモい呼ばわりされていた彼のその後はどうなったのか。
アニメ会社に戻り、泊まり込みが続いている岸は、公園のベンチで休憩中に通りかかったたまきと出会う。
千代と一緒のときに何度か顔を合わせているが、たまきは岸に対して悪い印象はない様子。
「君は夢に満ち溢れて見えるよ…」の言葉に、「岸さんもそう見えますよ」と返すたまき。
岸本人は陰気なキャラで、あまり感情を外に出さないタイプなのかも知れないが、もともと絵を描くことが好きという気持ちはあったはず。
少々卑屈な性格のため、周囲が眩しく見える時があっても、彼自身が憧れの対象となりえるのだ。
見た目はボロボロだとしてもね。
岸の吹っ切れた表情が見れたのはよかった。
個人的に気になるのはキキのその後である。
もともと本作は彼女の扉絵をきっかけに読み始めたので、登場シーンが欲しいところなのだが、中編・後編合わせて1ページのみであった。
テレビの出演も果たし、アイドルとしての仕事もうまくいっているようだ。
ちなみにシリーズ第三弾の「パラダイス!」は、彼女がアイドルを目指すきっかけとなった人物との出会いを描いたエピソードらしいので、単行本で読めるのを楽しみにしたい。
中学生の頃のキキの着ていたジャケットに「NYAN NYAN」の文字が見えるけれど、たまきのバンドと関わりがあったりするのだろうか。
単行本は7月発売予定とのこと。
まだ続きが描けそうな終わり方だけど、主要キャラみんな希望の見えるところで一区切り。
そのうち他作品にスター・システム的に登場してくれるとうれしいよね。