「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。
月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。
34話は興蓮館の藤江姉妹のエピソード。
前回はこちら。
何とか戦える?
インターリーグ決勝の興蓮館戦、全国を制したばかりのチームを相手にどこまで通用するのか、蕨青南にとっては自分たちの成長を確認できるチャンスである。
もちろん負けるつもりなどないが、このクラスの相手と試合できる機会はそうそうないだろう。
冬の選手権へ向けて大きく前進するためにも白熱した試合を期待したいところ。
懸念があるとすれば、敵の高萩監督がこちらの選手たちの能力を把握していることだが、彼女たちの動きも見違えるものになっているようだ。
当時は県予選の直後で燃える能見コーチがチームの強化に乗り出していたし、苦手な守備を深津監督に丸投げしていた時期。
今大会での躍進の一番の要因である守備陣の進化を、この試合で知ることになるはず。
事前情報と異なるのはお互い様か。
興蓮館と藤江宇海
興蓮館はバランス型のチーム。
久乃木や栄泉船橋のような特化型にはそれぞれ劣るものの、高いレベルで柔軟に使い分けることができることが強さの秘密らしい。
今回は、その強い興蓮館を作り上げた藤江宇海(ふじえ うみ)の過去が明らかになる。
中学時代までの彼女は、常勝久乃木学園に憧れるサッカー少女だった。
むしろ鷲巣監督のファンだった。
日本が目指すべき理想を体現しているチームとして、彼女の中では特別な存在だったようだ。
その思いが強すぎたためか性格のためか、久乃木学園へ入学して活躍する道よりも、久乃木学園と戦う立場を選ぶのである。
しかも無名校への進学というおまけ付き。
高萩監督の就任が決め手になったのだとは思うけれど。
案外、恩田のように近いから選んだという線もあったりして…
監督との相性はよかったのだろう。
入学してすぐに頭角を現し、後輩たちへの指導も熱心に行っていたという。
特に、パートナーとして鍛えられた来栖は、彼女のことを羅刹と形容するほどである。
それでも皆に慕われているのは、率先して結果も出してきたからなのだろうね。
その甲斐もあり、2年時には夏・冬ともに久乃木と日本一の座をかけて戦うことができた。
夢の達成まであともう一歩。
そして最後の差を埋める鍵となるはずだったのが、彼女が正真正銘一握りの天才と認める妹の梅芽(うめ)の存在である。
日本一は達成したものの、相手が久乃木学園でないことには、藤江の意思を継ぐチームメイトたちも納得はしないだろう。
打倒梶に燃える来栖なんかは特にそう。
今度の冬の選手権が宇海の在学中ラストチャンスである。
ここで立ち止まるわけにはいかない。
単行本9巻の発売日は6月17日に決定。