午前3時の太陽

おすすめ漫画の紹介と注目の新刊コミックのレビューブログ

2015-01-01から1年間の記事一覧

「ぼくを探しに」ハーブティとマドレーヌが誘う記憶の旅

「ぼくを探しに」はシルヴァン・ショメ監督による2013年公開の映画。 音楽、スイーツ、不思議なハーブティー。 しあわせの鍵は、記憶の中にある。 最も古い記憶は2歳の時。 叔父に連れられて幼稚園に向かう姉を、祖母の家の縁側から眺めていた。 なぜ2歳と言…

「エル・スール」まだ見ぬ憧れの地と父の秘密

エストレーリャは父の名を呼ぶ母と、犬の鳴き声で目を覚ます。 父がもう戻らないことを察した娘は、謎の多かった父の在りし日の姿を思い起こしていた。 「ミツバチのささやき」で知られる、スペインのビクトル・エリセ*1監督の長編二作目だ。 独裁政権*2が終…

「本棚の10冊で自分を表現する」やってみた

はじめに ここ数日、Twitterやブログで、「10冊の本で自分を表現する」という企画が流行っているようだ。 面白そうな事には首を突っ込みたくなるもので、自分でもやってみた。 10冊に絞るのはなかなか苦労したけれど、これまでの人生の中で影響を与えている…

2015年上半期に観た映画50選(旧作)

はじめに 6月にブログを開設して3ヶ月経ちました。 もともとは去年の末頃にFilmarksを始めて、少しずつ感想を書いていたんですが、動画を紹介したかったりとか、長めの文を書いてみたかったりという思いがあってはてなブログにやってきました。 雑記ブログに…

「ペルシャ猫を誰も知らない」扉を叩け!叫べ!イランの音楽事情

「ペルシャ猫を誰も知らない」は2009年公開のイラン映画。 イランの厳しい規制の中で、音楽に夢を持つ若者たちがいる。 ライブやCDなどの音源の発売だけでなく、練習すらもままならない。 近隣の住民に通報されれば、それだけで逮捕されるという状況だ。 そ…

「ポルトガル、ここに誕生す」〜ギマランイス歴史地区

ポルトガルの北西部に位置する、世界遺産ギマランイス歴史地区。 ポルトガル王国の初代国王アフォンソ1世が誕生し、ポルトガル発祥の地と呼ばれるこの地区は、2012年に欧州文化首都*1に選定されました。 1年間にわたり各種の文化行事を展開するもので、都市…

「さらば、わが愛/覇王別姫」京劇の世界を通した中国近代史

チェン・カイコー監督の「さらば、わが愛 覇王別姫」を観ました。 評価の高い割に、レンタルでは出回っていないようなんですよね。 いつか観たいと思いながら今日まできてしまったのですが、先日始まったNetflixの映画リストの中に見つけた時はうれしかった…

話題の動画見放題Netflixが開始したので登録してみた

9月2日、Netflixが日本でサービス開始。 映画好きや海外ドラマ好きの人たちは日付が変わるのを楽しみにしていたのではないでしょうか。 Netflix(ネットフリックス)。 21時頃仕事から帰ってきて、日付が変わるまでまだ数時間。 Netflixから開始のメールは来…

9月2日開始NetflixにAmazonも対抗!映画は何で観る?

アメリカのVOD(Video On Demand)サービスの最大手、Netflix*1が間もなくサービスを開始します。 僕も映画はインターネット経由で観ることが多いので楽しみにしていました。 日本ではレンタルビデオ店が多く存在するのでDVDなりBlu-rayで鑑賞する人がまだま…

偉そうな三十路たちにおすすめする粋な映画5選(テッテレー企画)

View post on imgur.com はじめに テッテレー企画 これは「三十路男の悪あがき」というブログを運営している三十路男(@30sman_blog)さんの始めた企画への参加記事です。 [三十路 偉そう]で1つ記事を公開する。 記事公開の連絡をくれた時点でイベント参加と…

喜劇王チャップリンを味わう映画10本を年代順に紹介する

今年はリュミエール兄弟によって1895年に世界初の映画「工場の出口*1」が公開されてからちょうど120年。 その年に生まれたのが後に喜劇王と呼ばれるバスター・キートンです。 そして、キートンやハロルド・ロイドと共に三大喜劇王として知られるのがチャール…

「さよならフットボール」性別の壁に向き合うサッカー少女の挑戦(新川直司)

「さよならフットボール」は新川直司による漫画作品。 恩田希は、藤第一中学の男子サッカー部に所属する14歳の女の子。 あだ名は藤一のエリック・カントナ*1。 スポーツ少年団の頃から周囲を圧倒するテクニックを持っていたが、成長期の男子選手たちに体格で…

異例の金魚すくい漫画「すくってごらん」(大谷紀子)

「すくってごらん」は大谷紀子による漫画作品。 BE・LOVEで2014年より連載を開始した。 東京のKDS銀行本社から大和郡山支店に転勤でやってきた元エリート銀行マン・香芝誠。ささくれ立った心をむき出しにして歩いていた香芝が、束の間の清涼を求めて偶然足を…

旅に出たくなる映画、ロードムービー名作5選【夏編】

夏本番ですね。 すでに旅行の計画を立てている人も、夏休み?何それと言う人も旅の気分を味わえるもの。 映画です。 今回ロードムービーの中から夏っぽい作品を5つ選んでみました。 それではいってみましょう。

読む落語 入門用におすすめな、ちくま文庫「落語百選 夏」

Kindleの月替りセールに「落語百選 夏」のタイトルがあります。 しばらく前には春編が入っていたので、季節ごとに対象になるんでしょうか。 文庫版で持っていたので優先順位を後回しにしていたけど、こうなってくると気になってきますね。 子どもの頃からな…

ヒッチコックの「裏窓」のぞきをのぞく、会話劇と日常の中のスリル

「裏窓」はアルフレッド・ヒッチコック監督による1954年公開の映画。 怪我で部屋から動けない男が、窓からながめる近隣住民の不審な行動に気付き、真相を解明しようとするサスペンス・コメディ。 概要・あらすじ カメラマンのジェフは撮影中の事故で6週間も…

究極っぽい質問「人はアルバム3枚のみで生きられるか」

jigokuno.com/ こー(@koh_izuremo)さんの企画がおもしろそうだったので乗っかってみる。 アナタが最高すぎると思うアルバムを3枚挙げて下さい。この先の人生でその3枚のアルバムしか聴けないのと、その3枚のアルバムのみ聴けないのとどちらかを選ばないとい…

さよならクリス・スクワイア これからYesを聴くならおすすめの5曲

Chris Squire, Yes Bassist and Co-Founder, Dead at 67www.rollingstone.com はじめに Yesのベーシスト、クリス・スクワイアが亡くなった。 67歳、まだまだ元気で活動して欲しかった。 ただ生涯現役でやれた事は本望なんじゃないだろうか。 活動期間約50年…

史上最高のベーシストが発表されたので圏外からおすすめしてみる

先日、とあるサイトで発表されたらしい企画。 「史上最高のベーシスト TOP50」を音楽サイトuDiscoverが発表 - amassamass.jp ロック系の白人ベーシストが多くを占めている時点でお察しなんですが、興味がある話題なのでランキングにのっていない、自分なりに…

「キートンのセブン・チャンス」恋と婚活とアクションコメディ

証券会社を共同で営む主人公は好きな相手に愛を伝えられずにいた。 会社は業績不振で破産の危機でもあった。 そこへ祖父の遺産が転がり込む。条件は27歳の誕生日の午後7時までに結婚していること。 「誕生日っていつだ?」「今日だ」

「ストックホルムでワルツを」スウェーデン語のジャズシンガー

スウェーデンの国民的歌手、モニカ・セッテルンドのサクセスストーリー。 ジャズ好きの間ではビル・エヴァンスと共演したことで知られている。主演のエッダ・マグナソンがモニカの波乱万丈の半生を熱演。

映画「マイ・フレンド・フォーエバー」その川はミシシッピへと続く

「マイ・フレンド・フォーエバー」はピーター・ホルトン監督による1995年公開の映画。 不治の病に侵された少年と、隣りに住む同年代の少年との友情を描いたロードムービー。 概要・あらすじ エリックの家の裏隣にエイズ*1の少年デクスターが引っ越してきた。…

「丹下左膳余話 百萬両の壺」時代劇版ツンデレのお手本

時代劇版ツンデレのお手本。「江戸は広いぞ。十年かかるか、二十年かかかるか、まるで敵討ちだ。」 享保の世、柳生対馬守は家に代々伝わるこけ猿の壷が百万両のありかを示したものだと知らされる。…当時人気絶頂だった丹下左膳の主役大河内傳次郎を使って大…

「バグダッド・カフェ」渇いた砂漠に潤いをもらたす女神

「バグダッド・カフェ」はパーシー・アドロン監督による1987年公開の映画。 ミニシアター系の映画が注目されるきっかけになったとも言われる作品である。 1987年の劇場公開版、1994年の完全版、2008年のディレクターズカット版の3種類。 最新版では構図や色…

「こねこのミーシャ」「ミトン」他、ロシアのストップモーションアニメ名作集

チェブラーシカやミトンで知られるロシアの人形アニメーション作家、ロマン・カチャーノフ監督作品。 没後20年に当たる2013年に日本で初公開。 表題作を含め、6作品の短編集。

雨の描写が記憶に残る映画5選

はじめに 雨は好きです。 晴れの日はもっと好きです。 通勤や通学は確かに大変ですが、傘をさすかどうか迷うような降り方よりは、はっきり降ってくれたほうが気分はすっきりしますね。 カフェに立ち寄って、または自宅の部屋でコーヒーを飲みつつ雨を眺めて…

「ル・アーヴルの靴みがき」希望がないなんて、そんなことはなかった

「ル・アーヴルの靴みがき」はフィンランドのアキ・カウリスマキ監督による2011年公開の映画。 概要・あらすじ 「わずかな望みもない?」 「奇跡が起こるかも」 「近所じゃ起きてないわ」 密入国の少年と、貧しい人々の温かな善意と希望。フランスの移民問題…

「コーヒーをめぐる冒険」一日の始まりは一杯のコーヒーから

一日の始まりは一杯のコーヒーから。 ペーパードリップを発明したドイツでは、会社でもコーヒーを飲むための朝の休憩時間が設けられるというお国柄。 原題はThe Beatlesの「A Day in the Life」より。…モノクロで描く、ドイツの過去と現在の姿。一見、おしゃ…

「ミツバチのささやき」無垢な少女のまなざし

「ミツバチのささやき」はビクトル・エリセ監督による1973年公開の映画。 フランコによる独裁政権が続いていたスペインで、検閲を通過させるために幼い少女と家族の物語として隠喩を多く用いた表現で描かれた。 それがまた作品に神秘的な雰囲気をもたせるこ…