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「MAO」60話(高橋留美子)土の陰陽師を知る者

「MAO」(高橋留美子)60話より、土を使う医者を探し当てた摩緒たち

「MAO」は高橋留美子による漫画作品。

週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。

60話は、土の施術をする町医者の行方を追う。

 

前回はこちら。

これは、同じ「呪い」を背負う摩緒と菜花の “全てを終わらせる” 物語――

中学三年の黄葉菜花(きば なのか)はある門を通り大正時代に漂着。同じ「猫鬼の呪い」の陰陽師・摩緒(まお)と出会う。彼は寿命を操る秘法を継ぐのに必要な生贄で、5人の兄弟子に命を狙われている。摩緒は土化事件で使われた土の陰陽術を見て、生まれ育ちが同じ兄弟子・大五を思い出す。この術を教えたのは誰か――

(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)60話 ―土薬―」より)

町医者・土門を訪ねる摩緒たち

土による治療を行う町医者・土門の足取りを追う摩緒たち。

患者たちが次々と行方不明になるという事態が明らかになると、別の土地へと移り住んでいるらしいのである。

「MAO」(高橋留美子)60話より、土門先生に治療された子供
(「MAO」60話より)

貧しい住人たちからの頼みを断らず、無報酬で診ることも多かったような印象もあるが、彼の目的は一体何なのだろうか。

そして摩緒の知る人物へとつながるのか?

周囲の評判からは悪意があるようでもなく、患者から直接話を聞けないため発覚が遅れていたのかもしれない。

考えられるのは術が不完全であることで、体が消滅してしまうほどの反動の強さは只事ではない。

そんな危険なものを素人に教えた陰陽師も同時に探すことになるだろう。

「MAO」(高橋留美子)60話より、妻を治すための調合を試していた
(「MAO」60話より)

実際の相手は覚えのない顔の老人で、そもそも医者ですらないようにも見える。

以前に土の陰陽師に助けられたことがあり、その時に貰った土薬を再現しようとしているらしい。

術者としての素養があれば、練られた土が使えるものかどうか分かるものなのだろうが、普通の人である彼は実際に試してみるしかなかったといったところか。 

噂を聞きつけて件の陰陽師が会いに来てくれることも期待していたのかもしれない。

ただそのために犠牲が出ることも厭わないようだ。

確かに悪意はないのだが、淡々として余計な感情は捨ててしまったようなところがある。 

すべては彼の妻を治すために注がれているのだろう。

弱っているせいか、彼女が本来の人格を残しているかは定かでないが、かけられているのは単なる治療術ではなさそうだ。

「MAO」(高橋留美子)60話より、土の陰陽師登場?
(「MAO」60話より)

当時の話を聞き出すことで、うまくすれば残りの五色堂メンバーへ辿り着く緒が見つかるかもしれない。

果たしてその相手は敵か味方か、五人が再びそろった時、後継者争いは新たに始まるのか?

猫鬼の復活を機に彼らが集い出したのはただの偶然とも思えないので、何かのきっかけにはなるのだろう。

 

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